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迷わない新NISA投資術
菱田 雅生
大口 克人
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そもそも資産運用ってなぜ必要なの?

預貯金だけではいけない理由

今、預貯金だけだと不十分な理由を2つ挙げます。

(1)預貯金だけではお金が全然増えないので、資産形成にならない

資産形成では「72の法則」というものがあります。これは「72を金利の数字で割ると元本が2倍になるまでのおよその年数を計算できる」というものです。金利が6%だった時代には約12年でお金が倍に増えましたが、現在の定期預金の金利は0.002%程度です。2倍になるまで3万6千年もかかることになります。

(2)預貯金にはインフレと円安の二つのリスクがある

インフレとは、物の値段が継続的に上がっていくことです。物価が上がると、自分が持っているお金で買える物が減ってしまいます。今100万円持っているとしても物価が年3%上がるなら、資産を守っているつもりでも10年後には74万円の価値しかなくなってしまうのです。

円安は、世界の通貨の中で比べたとき日本円の価値が下がるリスクです。為替レートは国の経済的な能力を反映して決まります。日本円のまま預貯金をしていることは、資産形成の面で万全とは全く言えないことがわかります。

王道の低リスク投資法とは

我々が活用して行くべき商品は「株と投信」です。値動きのある商品はリスク商品ですが「長期・分散・積立投資」を行ってリスクと上手く付き合えばいいのです。地味な投資法ですが、実は資産形成の王道と言われています。

過去のデータで「長期・分散・積立投資」の効果を調べると期間にもよりますが、20年間で元本が2倍、利回りは年4%程度の複利で運用できています。「いろいろなものに分散して放っておく」はNISA口座を開いて投信の積立を始めるだけで良いので、誰にでもできます。

新NISAは神改正!? どう良くなった? 

2023年のNISA制度について

まずは、23年末まで使える今のNISA制度を知っておきましょう。現在のNISAには「一般NISA」と、未成年に向けた「ジュニアNISA」、長期の積立投資向きの「つみたてNISA」の3種類があります。

すべてのNISAで値上がり益や配当分配金が非課税になるというメリットは共通しています。注意すべきは、一般NISAとつみたてNISAは併用ができず、どちらか一方を選ぶ必要があることです。

今のNISAは、運用期間が限定されています。買った商品を売って現金化すると、非課税枠も消滅してしまいます。いい制度ですが、ちょっと癖が強いところもあります。しかし新NISAではすべて改められ、使いやすくなる予定です。

新NISAはより長期運用できシンプル化

新NISAの最大の変化は、NISA制度が期間限定のものではなくなり、恒久化されるということです。運用期間の終わりがなくなるので、プラスが出るまで持ち続けられます。

数字的に、大きく変った派手な部分は、非課税投資額の拡大です。新NISAでは今のつみたてNISAを受け継いだ「つみたて投資枠」と一般NISAを受け継いだ「成長投資枠」の2つができます。非課税額は、つみたて投資額が年120万円まで、成長投資枠が240万までとこれまでの2倍3倍に大きくなります。

驚くべき事に新NISAではこの二つの枠が併用可能です。もはや爆発的拡大と呼んでも差し支えないのではと思っています。

生涯投資額が設けられる

新NISAでは「生涯投資額」という新しい考え方が導入されることになりました。これは、一人が持てる非課税枠の総合計のことを指し、額は1800万円です。生涯投資額は元本ベース、つまり自分が買った時の値段で管理します。

商品を売却すれば翌年投資枠は復活します。それを再利用して、新たな商品で非課税運用ができるのです。NISAの誕生から見てきた私には、ついにここまで便利な制度になってくれたかと期待しています。

正直FPがすすめる賢いNISA活用法

改正してからではダメ、今日から開始のススメ

現行制度のラストイヤーである23年のNISAはどのように使うのがベターでしょうか? 

基本的な考え方としては、元本が大きいほうが利益も大きくなる可能性が高いため非課税枠の大きい一般NISAで120万円の限度額いっぱいまで投資すると良いです。

23年末で完全に終了するのがジュニアNISAです。18歳未満の子供がいる人は、子供名義のジュニアNISA口座を開いて投資すると非課税枠を活用できます。ジュニアNISAは子供が18歳になるまで非課税で保有し続けられます。これを使わないのはもったいないでしょう。

新NISAはウサギ作戦がおすすめ

24年からの新NISAの賢い使い方。それは「生涯投資額の1800万円は、できるだけ使い切ったほうがお得」ということです。使い切るための考え方は、2つあります。

・ウサギ作戦

手元にある貯金を使い、とにかく早く1800万円を投資する。

・カメ作戦

コツコツ積み立てて時間をかけて1800万円を投資する。

どちらが有利なのか試算すると、ウサギの効率の良さが圧倒的で、その差は40年間で4500万円近くになります。

投資効果だけを見ると、なるべく多くの金額を早く投資した方が基本的には有利です。余裕ができたら、なるべく積立額を増やして頑張って生涯投資枠を使い切ることを目指しましょう。

2つの投資枠どっちから使う? 

つみたて投資枠と成長投資枠で、優先的に使っていくべきはつみたて投資枠です。理由は3つあります。

(1)商品が金融庁の基準を満たした低コストの投資信託が中心だから。

(2)つみたて投資枠で買える商品は、成長投資枠でも買えるから。つみたて投資枠で買える商品をあらかじめ選んでおけば年間360万円の限度額までフルに投資できる。

(3)「長期・分散・積立投資」を目指すなら、つみたて投資枠で低コストのファンドを毎月積み立てていくのがリスクも低く、無理なく実践できるから。

【正直FP的】選ぶべき金融機関はコレ! 

NISA口座なら証券会社

NISA口座は銀行や郵便局、保険会社などで作れますが、ズバリ証券会社が良いと思います。ほかの金融機関と違う点として、証券会社でしか買えない株式、ETF、REITなどがあるからです。

では、証券会社選びのポイントを見ていきましょう。

ポイント1、手数料の安さ

資産運用において手数料の負担は、運用利回りをマイナス方向に引っ張るもの。とにかく手数料の安さを重視すべきです。

最近ではネット証券を中心に、売買手数料は「一定金額まで無料」「NISA口座で国内株の売買なら無料」などかなり安くなってきました。

ポイント2 取扱商品サービスの豊富さ

投資に慣れてくると、もっと多くの商品を選びたいと思うようになります。国内株式や外国株式、外国ETFなどはほとんどの証券会社で取引できます。

ただし、るいとうや単元未満株の扱いや小口の投資家でもIPO(新規公開株式)に当たるチャンスがあるかなどは証券会社によってかなり差があります。

ポイント3 使いやすさ・お得さ

ウェブサイトの使いやすさや入出金のしやすさは、まず口座だけ開いてみるのも1つの方法です。また、取引状況に応じてポイントが貯まるサービスを実施しているところがあります。

例えば、楽天証券だと楽天ポイント、SBI証券だとTポイントやdポイントなどが付与されます。自分がよく使うポイントが貯まる証券会社にNISA口座を開くというのも、今時の賢い選び方でしょう。

【正直FP的】選ぶべき商品はコレ!

金融庁「お墨付き」の投資信託

次は、何を買えばいいか見ていきましょう。

初心者コースは、つみたてNISA専用ファンドから選びましょう。これらは金融庁が認めた長期運用向けの投信と、一部のETFに限定されています。積立NISA専用ファンドは日本国内で販売されている投信のうちのわずか3.8%です。それだけ厳選されたファンドだといってよいでしょう。

まずはインデックス型から始めればいいと思います。インデックス型は、日経平均株価やTOPIXなどの指標に連動する運用成果を目指すものです。お勧め証券会社で買うならこの5本というのを具体的に上げますので、参考にしてみてください。

プロが選ぶこの5本

SBI証券ならこの5本です。

(1)SBI・V・S&P500インデックス・ファンド

(2)SBI・V・全米株式インデックス・ファンド

(3)Tracersグローバル3分法(おとなのバランス)

(4)SBI・全世界株式インデックス・ファンド

(5)たわらノーロードバランス(8資産均等型)

米国株で運用したいなら(1)か(2)です。(3)は債券・株式・不動産の割合で投資しますが、債券が多く値動きが小さめ。(4)は世界中の株を買います。(5)は幅広く分散するタイプです。

楽天証券ならこの5本です。

(1)eMAXISSlim米国株式(S&P500)

(2)eMAXISSlim先進国株式インデックス

(3)Tracersグローバル3分法(おとなのバランス)

(4)eMAXISSlim全世界株式(オールカントリー)

(5)たわらノーロード バランス(8資産均等型)

eMAXISはコスト負担や運用実績ともに大きく変わりません。投資先が(1)米国、(2)先進国、(4)全世界の違いです。リスクを低めにするなら債券多めの(3)、分散できる(5)です。

ただ、実は証券会社選びや商品選びよりも重要なことがあります。それは、自分のライフスタイルや価値観にあった資産の組み合わせ配分割合を決めることです。次の章で詳しく見ていきましょう。

ライフスタイル別「新NISA活用戦略」

ここでは最も重要な、ライフスタイル別年代別の資産の組み合わせ配分割合について確認してください。

単身世帯

・若い単身世帯は株式多めでも構わない

・預貯金で保有資産全体のリスクを調整できるなら、株式のみでも良い

・日本経済の将来の期待度に応じて国内株式を増やすか減らすかを検討

・不動産は株式や債券と異なる値動きなので、幅広い資産に分散する意味で少しなら入れてもOK

共働き世帯(子なし)

・2人の資産はそれぞれ別で割合を設定

・貯金が多いなら、株式多めでOK

・子どもを持つ計画があるなら教育資金のため、株式を減らした方が安全

子育て世帯

・夫婦の資産はそれぞれ別で割合を設定

・教育資金等まとまった出費の予定があるなら、株式は少なめに

・子どもが育ったら株式を多めに変更

リタイア世帯

・資産を売却して行く際の受取額の増減を小さくしたい場合、株式の割合を少なめにしておく

・年金収入が充分なら、株式を増やしても良い

・相続を考慮し、名義を明確にしておく

成長投資枠で買いたい個別株の投資戦略4選

個別株投資の魅力に注目した投資戦略を解説します。つみたてNISAで投資をしている人で、余裕のある人は個別投資にも挑戦してみましょう。

1.高配当株投資

配当金の魅力を比較するのに使える指標が、配当利回りです。これは投資額に対して年何パーセントの配当金がもらえるのか見るもので、配当利回り4%以上の高い銘柄を狙っていくのが高配当株投資です。高配当株を探す際は、企業規模や利益の状況を確認しましょう。安定的に配当金を出していて、まず潰れなさそうな企業を選ぶことが重要になります。

2.成長株投資

株を安い時に買って、高いときに売るその差額が値上がり益です。金銭的なメリットは、

これが一番大きくなる可能性があります。

株価が上がった銘柄を後で探すのは簡単ですが、上がる前にどうやって見つけるかが重要になります。教科書的に言うなら、売上高や国内シェア、株価の上昇トレンドなどを確認することです。

とは言え難しく考えても、将来のことは誰にもわからないので、シンプルに「これから自分が就職するなら、どの会社で働きたいか」といった視点で選んでみるのも1つの方法です。

3.優待株投資

株主優待というのは、企業が株主に対する日頃の感謝のしるしとして、自社製品や割引券などをプレゼントする制度です。国内全上場企業の約4割が実施しています。

その企業の商品やサービスをよく利用している人は、株主になることで大きなメリットが得られるでしょう。なお、株主優待を受けるには、決算期末などの権利確定日に株主になっている必要があります。制度もその時々で変更になったり、廃止になったりすることもあります。

4.株式分割

株式分割とは1株をいくつかに分割し、発行している株式数を増やすことです。

2株に分割する場合は株価は1/2に修正されて下がるので、投資家にとっては買いやすくなり、株価にもプラスに働きます。株式分割を定期的に実施する企業の株価は、上がりやすいと言われています。

株式分割は遅くとも実施の2、3か月前には公表されるので、今後株式分割が決まっている銘柄を定期的に確認するのもいいでしょう。

NISAと人生の出口戦略も考えよう

NISAに限らず、投資の世界には「Start&Forget」という言葉があります。これには投資を始めたら忘れて、あまり細かくいじるなという意味があります。

時には資産状況の確認や銘柄入れ替えも必要なのですが、それは年に1回でも充分で、毎月銘柄を入れ替えたりするのは何の学びにもならないし、運用成績が落ちるのでやめるべきです。

基本はあくまで長期投資。上がると思って買った株や投信なら、途中で見放さず信じて長く持つようにしたいものです。

NISAも「利益が出たら売ってよし」

長期運用が大切だと話すと、「NISAを始めたら売ることなど考えてはいけない」と思い込む人がいます。

しかし、24年からの新NISAは売った翌年に非課税枠が復活しますので、タイミングを見て売却し、利益確定をするのが一番大事なことでもあります。例えば、何パーセント上がったら売るなど自分でルールを決めておきましょう。

売った後で株が値上がりして「早く売りすぎた!」と後悔するのは、投資家なら誰でも経験していることです。利益が出ているのですし、マーケットは明日も動いています。人生100年時代、投資の失敗を取り戻すチャンスは、この先何十年もあります。

投信の場合は、穏やかな値上がりで、安定的に資産を増やすものです。ただ、かなり利益が出ているとか、お金が必要になったのなら迷わず売っていいでしょう。

含み益がある時に利確して実存益に変えておくのは非常に重要で、相場格言の「利食い千人力(利益確定には千人分の力がある)」というのは、このことを指しています。

このようにNISAの出口戦略は「利益が出たら売ってよし」なのです。

著者
菱田 雅生
ファイナンシャル・プランナー(CFP、1級FP技能士)、ライフアセットコンサルティング株式会社代表取締役。1969年東京都生まれ。早稲田大学法学部卒業後、山一証券に入社し個人営業を経験、山一証券自主廃業後、独立系FPに。講演、執筆、コンサルを中心に活動。金融機関や大手企業での講演回数4400回超。コラム執筆3000本超。1級DCプランナー、住宅ローンアドバイザーの資格も持つ。著書に『お金を貯めていくときに大切なことがズバリわかる本』(すばる舎)など。2020年、YouTube「正直FPヒッシー先生の『お金の増やし方』チャンネル」開設。
著者
大口 克人
日本経済新聞金融 市場ユニット マネー編集チーム副リーダー、『日経マネー』発行人。1991年、日経ホーム出版社(現・日経BP)に入社。『日経マネー』編集部に配属以来、『日経ゼロワン』編集長、『日経マネー』編集長、日本経済新聞マネー報道部長などを経て30年以上を個人の資産形成の研究に費やす。新聞・雑誌・書籍・WEBなど多くの媒体を経験し、金融セミナーの講師・モデレーターなども行う。日経電子版「マネーのまなび」セクションを担当。
出版社:
日経BP
出版日:
2023/5/18

※Bibroの要約コンテンツは全て出版社の許諾を受けた上で掲載をしております。

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