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フリーランスで生きていくために絶対知っておきたいお金と税金の話
さんきゅう倉田
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フリーランスとして生きていくために必要なことを「お金と税金」をテーマにまとめた本書から税金について焦点をあて紹介します。

フリーランスのための確定申告

確定申告は慎重に

日本は申告納税制度を採用しています。勤務する会社が源泉徴収や年末調整をしてくれる会社員と異なり、フリーランスは自分で「確定申告」をして、収入や所得、経費、控除などを申告します。確定申告に誤りや虚偽があると加算税が発生して負担が多くなる場合があるので、フリーランスになったら自主的に勉強するようにしましょう。

税務署は、申告内容が正しいかどうかを「税務調査」で調査します。一般的には、売上が急に伸びた人や売上が伸びたのに所得が変わらない人、不正が疑われる業種などに行われるとされていますが、どのような事業者でも調査を受ける可能性があります。収入が少なくても、日々正しく帳簿をつけ、正しく申告するようにしましょう。また、一度不正が発見されると、その後再び調査が行われる可能性が高まります。

所得税と住民税

納税は国民の義務であり、働いて収入を得ている人たちは所得税と住民税を納めます。会社員は、勤務先の会社が毎月の給料から所得税や住民税を天引きし、1年間の収入や社会保険料などがわかる年末に、年末調整を行って差額を還付することで、確定申告が不要となっています。

一方で、フリーランスは毎年確定申告をします。以前と比べると、申告はとてもラクになりました。国税庁ホームページにある「確定申告書等作成コーナー」で自宅から申告ができるし、マネーフォワードやfreeeの登場で売上や経費などの記録も簡便になっています。

フリーランスも、多くの場合、所得税は報酬から源泉徴収されています。たとえば、20万円で講演をしたとすると、20万円の10.21%が源泉徴収されるので、2万420円が報酬から引かれます(10%ではないのは、東日本大震災のあと、復興特別所得税が加わったから)。報酬の20万円には10%の消費税がかかるので、源泉徴収された金額に2万円を足して19万9580円が振り込まれます。源泉徴収額は、仕事の内容によって異なります。取材など、源泉徴収されない取引もあります。

また、個人事業者であるフリーランスには、経費の算入が認められています。仕事道具、電車代、事務所の家賃などの経費を収入から引き、さらに社会保険料控除や配偶者控除などの控除も引いて、所得税を計算します。経費や控除が多ければ納める所得税が減りますが、支払いが増えれば、資産は減ってしまいますので、経費が多過ぎても良くありません。

所得税は超過累進税率を用いているので、税率は一定でなく、所得に応じて5~45%が課税されています。確定申告をすると、確定申告で計算した所得税と1年間に源泉徴収された所得税に差額が発生するので、納税または還付になります。

住民税は、前年の所得に対してかかります。フリーランスの場合は自治体から6月頃に納付書が送られてくるので、銀行の窓口やPayPayなどで支払います。税金を滞納すると高い利息が発生し、そのまま放置すると銀行口座を差し押さえられ、通帳に「サシオサエ」と表示されます。家に都道府県税事務所の職員さんがやってきて、お金に換えられそうなものを持っていってしまうこともあります。将来の納税額を予想して現金を用意しておきましょう。

社会保険料は全額自己負担

フリーランスは税金も保険料もすべて自分で納付をしなければいけません。会社員だった頃より、社会保険料の負担を重く感じている方もいるでしょう。よくわからないまま給料から天引きされる場合と、納付書の金額を見て納付する場合とでは、心理的負担は大きく異なります。納税を忌避される方もいますが、「確定申告はフリーランスの通信簿」。納税額は自分が頑張った結果なのです。

確定申告はどこでする?

確定申告の期間は、例年2月16日〜3月15日の1ヵ月間です。申告期限を過ぎてから申告すると、「無申告加算税」(納付すべき税額×5%)や利息として「延滞税」がかかる場合もあります。

どうしても申告が難しいと感じる場合は、確定申告期間中に税務署や確定申告書作成会場に行きましょう。申告書作成会場とは、税務署とは別に設けられた会場で、その地域を管轄する税務署の職員さんが来ています。お金を支払って、税理士さんに依頼することもできますが、確定申告の時期になってから慌てて相談すると、断られることがあります。前年から税理士さんを探し、連絡しておくと良いでしょう。

確定申告書を作成したら、税務署に提出します。主な提出方法は以下の3つです。

①管轄の税務署に直接持っていく。

②管轄の税務署に郵送で送る(返信用封筒を同封して、控えを送ってもらう)。

③「確定申告書等作成コーナー」から直接送信する。いわゆる、「e‐Tax(イータックス)」。

青色申告と白色申告の違い

確定申告をするためには、売上と経費の記録が必要です。フリーランスはさまざまな会社から報酬の振込があり、仕事が増えるほど処理が煩雑になります。そのため、毎月記録をつけたほうが良いと思います。12月に概算の年収と経費がわかれば、税負担が予想でき、仕事で使う道具等の購入を年内に行うべきか、翌年に行うべきか検討することもできます。ぼくは、会計ソフトに月ごとに売上と経費を入力し、お金の流れの見える化をしています。それを見て、売上が少ない月は経費を抑えています。

青色申告

お金の流れを見える化する習慣は、そのまま税制上の優遇措置を受けられる「青色申告」につながります。

確定申告には青色申告と白色申告があって、青色申告であれば、いくつかの特典が受けられます。これから青色申告を始める方は、青色申告を始めようとする年の3月15日までに「所得税の青色申告承認申請書」を提出してください(1月16日以後に事業を始めた場合は、開業の日から2ヶ月以内に提出)。

【青色申告の主な特典】

①青色申告特別控除

帳簿書類を備え付け、日々の取引を複式簿記で記帳し、貸借対照表と青色申告決算書を確定申告書に添付し、確定申告書を期限までに提出すれば、青色申告特別控除55万円が受けられます。さらに、e‐Taxによる申告を行うと、青色申告特別控除は65万円となります。

②青色事業専従者給与を経費にできる

配偶者や15歳以上の親族に支払う給料は、仕事の内容や従事の程度等に照らして相当な金額を経費にすることができます。平たく言えば、青色申告なら家族を従業員にできるのです。なお、適用を受ける場合は、3月15日まで(1月16日以後に新たに事業を始めた場合は、開業の日から2ヶ月以内)に、「青色事業専従者給与に関する届出書」を税務署に提出します。

③純損失の繰越し

赤字を3年間にわたって所得金額から差し引くことができます。

白色申告

一方、白色申告の方は簡易な方法による記録で良いとされ、確定申告のときの提出書類も少なくなっていますが、青色申告のような特典はありません。売上や経費について、取引の年月日、相手方の名称、金額等を記載する際、取引ごとではなく日々の合計金額をまとめて記載しても良いことになっています。なお、帳簿の様式や種類については特に定めがありません。

青色申告と白色申告それぞれの帳簿や確定申告書の書き方については、国税庁も『帳簿の記帳のしかた─事業所得者用─』『確定申告の手引き』という資料を公開しています。

フリーランスの経費の考え方

どこまで経費にして良いのかの判断はとても難しく、税務調査でもよく争われます。経費とは、

①売上原価、収入を得るために直接要した費用

②その年に生じた販売費、一般管理費その他業務上の費用

であると抽象的に表現されていて、同じ経費であっても、税理士さんによって見解が異なることもあります。自分の支払いが経費になるかどうかわからなければ、国税局電話相談センターに電話して確認してみましょう。

経費の注意事項

生活費は経費となりませんが、1つの支出が家事と業務の両方にかかわり、判断が難しい場面があります。

たとえば、自宅兼事務所の家賃や水道光熱費ですが、このうち経費にできるのは、記録などに基づいて、業務遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる場合のその区分できる金額に限られます。つまり、何の証拠もないのに「仕事でも使っています」というだけでは、経費として認められません。

必要経費にならないものの例

・生計を一にする配偶者や親族に支払う地代家賃などは経費になりません。逆に、受け取った人も所得としては考えません。

・生計を一にする配偶者や親族に支払う給与は経費になりません。※青色事業専従者給与は除く。

・所得税や住民税、罰金、科料、過料などは経費になりません。

インボイス制度と消費税

インボイスは消費税に関する制度です。住宅の貸付や私物をメルカリで販売するような一部の取引を除き、どんな取引にも消費税がかかっています。消費税が記載されていない場合でも〝消費税は含まれている〟と考えるのが、消費税のルールです。

まず、多くのフリーランスが消費税を納めていません。

取引をして消費税を受け取っている人は、毎年消費税の確定申告で、消費税の金額を計算して、消費税を納める必要があります。しかし、消費税の確定申告は必要な人と必要でない人がいます。2年前の売上が1000万円以下の人は、消費税の確定申告も納税も免除されます。だから、ほとんどのフリーランスは取引をして、消費税分の10%を受け取っているのに、納税はしなくて良いという優しいルールの中で仕事をしています。売上がずっと1000万円以下の人は、ずっと免税事業者です

しかし、インボイスに登録すると、これまで免税事業者だった売上1000万円以下の人たちも、消費税の確定申告と納税が必要になります。今まで払わなくて良かった消費税を払わなければいけません。

登録するかしないか選べるインボイス

インボイスの登録にはまず、適格請求書発行事業者の登録手続きが必要です。「適格請求書」と出てきたら、インボイスのことです。登録すると、〝登録番号〟がもらえます。今まで取引先に送っていた請求書にその登録番号を記載すると、請求書は「適格請求書」になります。

制度は令和5年10月1日から始まっています。インボイスの登録をしたフリーランスは、登録日から消費税の課税事業者になり、登録日から12月31日までの期間の消費税の申告が必要となります(消費税の確定申告は、毎年行っている所得税の確定申告と一緒にすると良い)。

登録するかしないかは、自分で選ぶことができます。しかし、登録しないと、取引先に送る請求書にインボイスの登録番号を記入することができません。そうすると、取引先は仕入税額控除ができず、損をしてしまいます。

仕入税額控除とは?

たとえば、コンビニはお客に物を売ったときに消費税を受け取る一方で、仕入のときには、仕入業者に消費税を支払っています。このように、取引をしていると「受け取る消費税」と「支払う消費税」が発生します。

確定申告をして納める消費税は、この受け取る消費税と支払う消費税の差額です。そして「支払う消費税」を控除するのが仕入税額控除です。仕入税額控除が多ければ、企業は納める消費税が少なくなりますが、インボイスに登録していない個人事業者と取引をした場合は、納める消費税が少なくならないルールとなっています。つまり、企業はインボイスに登録している人と取引をしたほうが、納める消費税が少なくなる。インボイス登録をしていない人は仕事が減ってしまうかもしれません。

簡易課税制度

インボイスに登録したら、消費税の確定申告をすることになりますが、申告には一般課税と簡易課税があります。簡易課税は、売上が5000万円以下の人が選ぶことができ、こちらを選ぶと消費税の確定申告における計算がラクになります。簡易課税にする場合は「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出しましょう。

フリーランスのための資産形成

フリーランスは老後に国民年金を受け取りますが、その月額は満額で約6万5000円です。この金額では家賃も支払えません。老後のために2000万円の蓄えがないと年金だけでは暮らしていけないと言われていますが、ここでは、会社員の厚生年金月額の20万円が基準となっています。フリーランスはもっと資産が必要です。

自分の年金は自分でつくる「iDeCo」

iDeCo(個人型確定拠出年金)は、国が推奨する「自分で自分の年金をつくる」制度です。掛金は月々5000円から1000円単位で設定可能で、上限6万8000円(国民年金基金または国民年金付加保険料との合算で)まで積み立てることができます。iDeCoの最大のメリットは、3つの税制優遇です。

①掛金が全額所得控除

支払った金額を社会保険料のように所得から引くことができます。

②運用益が非課税

運用で利益が出ても非課税です。

③受け取り時は「退職所得控除」や「公的年金等控除」が適用

一時金と年金、2つの受け取り方法が選択でき、どちらも控除があります。どちらが得となるかは、退職金や年金の額によって異なります。

なお、iDeCoは途中解約ができません。また、元本割れのリスクがあります。

20年加入で元本割れがなくなる「小規模企業共済」

小規模企業共済は、小規模企業の経営者や役員、フリーランスを対象とした制度です。掛金の上限は月7万円。事業を廃業したり、退職したりしたときに、積み立てた掛金に所定の料率(おおむね1%前後)が上乗せされて返還されます。

小規模企業共済の掛金も、iDeCoの掛金と同様に、全額所得控除になります。また、加入期間が20年を超えると、原則元本割れの心配はありません。

老後の資金も準備も大事

貯蓄が苦手な方には、「家計簿アプリ」を薦めています。メリットは、紙の家計簿と異なり持ち歩かなくて良いこと、そして、計算がラクなこと、銀行口座などと連携できること。預金口座とクレジットカードを連携させているので、入金や引き落としも容易に把握できます。また、毎月の生活費が把握できるので、必要な売上も計算できます。支出に合わせて、働く時間を調整できるフリーランスは、家計簿アプリを会社員以上に活用できると思います。

フリーランスは口座を3つに分ける

貯蓄にはルールが必要です。

まず、毎月貯蓄したい金額を収入から先に引いて、残りを支出に回します。また、仕事に関する支出と生活費を明確に分けるようにしましょう。それらが混ざり合って良いことなど一つもありません。さらに、銀行口座は次の3つに分けると良いと思います。

①売上の入金口座

②貯蓄のための口座

③生活費のための口座

生活費3ヶ月分程度のお金が貯まったら、それを超えた分のお金は投資に回すようにしましょう。

著者
さんきゅう倉田
芸人。ファイナンシャルプランナー。大学卒業後、国税専門官採用試験を受けて東京国税局に入局。中小法人を対象に法人税や消費税、源泉所得税、印紙税の調査を行ったのち、同局退職。吉本 興業の養成所NSCに入学し、芸人となる。Twitterなどで発信した税やお金の情報が話題となり、執筆や講演等の仕事を増やす。
出版社:
あさ出版
出版日:
2023/2/16

※Bibroの要約コンテンツは全て出版社の許諾を受けた上で掲載をしております。

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