専門家が選んだマネー本を時短学習
株メンタル
上岡 正明
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マインド
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専門家の推薦
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株式
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特に参考になったのは「マーケットは常に中立である」という考え方。人は様々な心理的バイアスのせいで暴落時冷静さを失う。そんな時自分は「普通」でさえいれば、相手が負けることで何もしなくても勝つことができるのだというもの。なので他の投資家が陥りやすいバイアスをこの本で勉強し、自分はこうならず「普通」でいられるようになろうと心掛けられるようになる。暴落時でもパニックにならない「株メンタル」を手に入れよう!

株式投資で勝ち続ける投資家に共通するメンタルを知れば、投資で勝つための傾向と対策がわかります。株価暴落時の対応もわかります。知っているだけで、少なくとも負けにくい投資家になれます。

この勝ち組投資家になるために心を制御することを、本書では「株メンタル」と呼んでいます。

独自のルールを作っていますか?

トレードというのは完全に自由な戦略の選択肢から、あなた独自の基本ルールを作って司令塔として統合せよ、と突きつけられているマネーゲームでもあります。独自の基本ルールの必要性をきちんと理解して、準備をしている投資家はごく少数です。少数しかいないからこそ、対策を練って、準備ができた人から「勝ち組投資家」として有利に戦っていけます。

規律を作って、自分の責任で決断するための基本となる、3つのルールをご紹介します。

ルール1 感情に惑わされない一貫性を保つ

本書でいう一貫性とは、恐怖や欲望を人間らしいメンタルだと前向きに許容しつつ、そうした要素がトレードに大きな影響を与えないよう、あなたが司令塔であることを自覚して、常にバランスの取れた状態を崩さないということです。

たとえば、ミスが起こったときにまず優先すべきは「なぜ、そのようなミスをしてしまったのか」、自分のメンタルの状態を分析し、改善につなげることです。基本、失敗は外部要因よりも、内部要因によることがほとんどです。つまり、失敗の原因の9割はあなたにあるわけです。

ルール2 マーケットの損得が成り立つ中立性を知る

株式投資というのは、自分一人で行うゲームではありません。相手がいて、初めて成立します。それも、世界中の専業投資家やプロのファンドマネージャーなどの強豪チームが相手です。一方の利益が、他方にとって損になる。相手がメンタルを崩せば、そのミスであなたが利益を得る。マーケットの損得とはそうした中立性の上に成り立っている、というバランス感覚をぜひマスターしてほしいと思います。

ルール3 正しいトレードを続ける初心を忘れない

初心者の投資家は、なぜか最初は大勝ちしてしまうことがあります。いわゆるビギナーズラックです。株式投資を始めたばかりの投資家はマーケットに対して「一貫」して「中立」であり、欲望や恐怖を全く知らない状態だからです。結果として、「迷い」「葛藤」「恐怖」「欲望」「過信」という5つのメンタルにとらわれない、非常にニュートラルな状態でトレードを始めることになります。そうした姿勢が、本書で紹介する理想的な状態です。

しかし、勝ち負けを経験し始めると、徐々にトレードに欲望や恐怖が芽生え、精神的にも高揚感を覚えてしまいます。最初に理想的な状態で投資をしていた人が、徐々に相場に支配されてしまうわけです。

株メンタルの武器

行動経済学は、いわゆる人間の本能的な行動そのものをモデルとして考えられています。99%の人間はそういう考え方や行動をするだろう、を基本にしているわけです。その結果、行動経済学では「人間は必ずしも合理的でない」と結論づけています。心理的な影響によって、頻繁に不合理な意思決定を選んでいるわけです。

投資というのは、お金がかかわることです。お金に関することは、人は感情で判断してしまいがちです。勘定で判断しなければならないのに、感情で判断してしまうため、不合理な結果になりがちなのです。株式投資というのは、非常に行動経済学の要素が強い、いわば心理ゲームです。だから、普通の人が自分の心の赴くままに投資をすると、なかなかうまくいかないわけです。人間だから陥りがちな、ミスやパターンを熟知して行動心理と照らし合わせて投資に役立てていくからこそ、勝ち続けることができるのです。

プロスペクト理論

この理論は比較的新しい心理学研究であり、2002年にノーベル経済学賞を受けたダニエル・カーネマンの論文によって世界に広まりました。不確実な状況で、人はどのような意思決定を行うのだろうかということを研究しています。

この不確実な状況というのは、まさに投資の世界と同じですから、このプロスペクト理論を知れば、あなたが投資で勝ち続けるための心理的なメカニズムを理解できるきっかけになるのです。

人は常に合理的な決断をするように見えて、状況や条件によって、損得勘定の考え方に大きな違いがあるのです。

損失回避性バイアス

損失回避性バイアスは、人は損をすることを異常に嫌う、という心理を説明したもので、損をすることを回避しようとする人間の心理が、かえって不合理な行動を招いてしまうことを説いています。

人は、同じ金額の損得でも受け手の被る心理的価値の大きさが違います。この感じ方の違いが働くことによって、自分のお金を運用する個人投資家は、小さく勝っているときは「うれしい」「楽しい」を確実に獲得しようと、大きく負けると「悲しい」「つらい」を解消しようとする行動を繰り返してしまうわけです。

損失回避性バイアスが働くと、いったん売って早めに利益確定しようという行動に出やすくなります。逆に利益確定せずに下がると、あのときに売っていればよかったという損失回避性バイアスに、再び私たちは苦しめられます。投資とはつまり、この繰り返しなわけです。

損小利大。これは投資家が勝つためのルールのようなものです。損をできるだけ小さくして、利益を拡大することを追求するべきですが、9割の投資家が残念ながらその逆をしてしまいます。

感応度逓減性バイアス

簡単に言うと「金額が大きくなるほど、人が感じる価格の価値は鈍化する」という意味となります。こうした現象は、損失でこそ注意が必要です。大きく損失回避の賭けに出やすくなるからです。損失が増加すると、初期の頃よりも金額の損失に対する心理的なダメージが軽減されてしまうため、負けた金額を取り戻そうと、さらに大胆な投資判断をするなどの行動に出てしまいます。これを、「ブレークイーブン効果」と言います。こうなると、予想が外れた場合、さらに損失が加速してしまいます。

株を始めたばかりの初心者は、誰でも最初は少ない金額で、レバレッジのない堅実な投資をします。しかし、徐々に株式投資にも慣れて、大きな金額を動かせるようになると、多少リスクが高くてもリターンの大きな信用取引や、一攫千金を狙ったギャンブルのようなトレードに挑むようになります。

これは、私たち個人投資家が損得勘定に慣れてしまうからです。投資を始めた初期の頃よりも、「負けに対する損失の感覚」が麻痺してしまった、と考えることができるわけです。個人投資家の多くが損を取り返そうとして、レバレッジをかけたり、塩漬けしてしまうのは、こういった心理を知らないからとも言えます。「一貫性」「中立性」「初心」を忘れた状態、これこそが最も危険なわけです。

感応度逓減性バイアスを理解して、自分の感情をコントロールできれば、リスクを減らしたり、利益を増やしていく武器にすることも可能となります。

参照点依存バイアス

株価が下落を始めると、下がった分だけナンピン買いをすればいい、と言う人がいます。最初に買った銘柄の価格を参考にして、そこから下がるとナンピン買いをしてしまう。無計画な無限ナンピンというのは、ただ掛け金を増やしているだけで、結果的に損が増大していくだけです。私の経験から言うと、ナンピン買いをする個人投資家の半数は失敗して資産を失っているようです。

平均コストを下げておけば勝ちやすい、というのは投資家の身勝手な願望です。損失を過剰に避けようとするプロスペクト理論にとらわれた結果なのか、資金をあらかじめ分割して戦略的に行った結果なのか、今の買い増し玉を自分の胸に手を当てて確かめてみることが大切です。

私たちはそもそも銘柄を買ったときには、高いときの株価を参考にしているわけです。つまり、最初に見た銘柄の価格が参照点となり、今の下落のダメージは一時的なものに違いないという錯覚に陥ってしまうのです。

現在の市況の変化から、今後の投資判断をすることが大事になります。自分の買い値とは関係なく、今の価格がエントリーのタイミングに比べて「割高」か「割安」かで判断するのです。エントリーのタイミングが現在の株価と比べても有利であると結論づけさえできれば、持ち続けるか、買い増せばいいのです。逆に、企業業績やマーケットの劇的な環境変化によって、不利な状態になったのであれば、損

切りしたほうがよい、となります。

投資家というのは自分の最初の買い値を基準にして、そこに引きずられたまま依存しようとします。だから、買った途端に最初の買い値のことは忘れてしまいましょう。プロの投資家の中には、最初の買い値をあえて売買譜(トレードの履歴を書き記したノート)に記さない人もいます。これも、買い値にメンタルが左右されないようにするためです。今の市況と株価から、割高か割安かだけを判断するわけです。

心理的弱点は大きなチャンス

行動経済学で特に強調されるのが、「人間が合理性の塊で、常に効率の良いほうを選択するのは誤りだ」ということです。多くの人が迷い、冷静さを失った行動をしている。それを熟知して、先手先手で先回りすることができれば、自分だけが大きく儲かる可能性が高まるわけです。

勝ち組投資家の5つのマインド

マインド1 リスクの見える化

何事も起こり得る。そう理解したうえで、投資戦略の道筋をシナリオ立てて考えるということ

です。自分のシナリオが外れたら、現金保有率を高めたり、一度損切りして冷静に考えます。自分の

シナリオが当たっている場合は、一貫して自分を律しながら、これまでどおりルールに基づいた

利益確定や順張りを繰り返します。トレードの勝者は一貫した自分を保つための投資シナリオを持つことを徹底しています。

マインド2 リカバリー案を用意する

ゴールに到達するためにはトライ&エラーを高速で回していくエンジンが必要です。それがリカバリー力になります。良い戦略には有効なリカバリープランが最初から用意されています。株式投資をやっていれば、誰にでも失敗はつきものです。そうした失敗をしても常に自分の投資シナリオやトレードを見直して、リカバリーできる対策を考えておくことが後々の投資に役立ってきます。

マインド3 相場のすべてを知ろうと考えない

マーケットの中には自分のわからないこと、理解の及ばないことがある。これをしっかりと腑に落としているのが、勝ち組投資家の絶対条件なのです。未来はコントロールできません。未来があなたに微笑みかけることがあるとすれば、それはあなた自身がおのれのメンタルを完全にコントロールできたときです。勝ち組投資家ほど、「明日あさっての相場の動きなど、どうせわからない」「わからなくてかまわない」と考えます。その分コントロールできる自分のエントリータイミングや玉操作に集中する、といった考え方を自然に身につけているのです。

マインド4 予想の半分は当たらないと考える

株で勝とうと思えば、「相場を確率論で考える」ことが重要になります。全体を通して4割負けて6割勝つ、というところまで相場の予測をもっていければ、勝ち組投資家になれるのです。それさえ知っておけば、中長期で運用する資産形成を目的とした投資家であれば、予想が外れてもなんらお構いナシ。不確実性を許容し、正しいトレードを続ける状態を維持することに意識を集中するわけです。

マインド5 同じトレードが100回できるを目指す

相場のことはよくわからないが、自分のことはよく知っている。結局、そうした投資家が相場で勝ち続けていけるわけです。大切にすべきなのは、ルールに従って一貫性、中立性、初心を忘れずに心のバランスを保ちながら正しいトレードをすることです。ルールどおりの正しいトレードが100回できるようになれば、勝つ確率も上がり、おのずと利益を生み出せるようになります。

究極の株メンタル投資術

最近投資を始めたばかりの人、これからスタートする人にとっては、非常に難解と感じるところもあるでしょうが、とても大事な考え方になります。ぜひ断片だけでも、心に留めていただければと思います。

株メンタル投資術①

無欲のまま、儲けを狙う

投資をしているとき、なるべくお金儲けのことを考えない、目の前のルールと規律を守ることに重きを置いているだけ、という心理状態を目指しています。つまり、自分が安定した心理状態のまま冷静でいられるように、「無欲の状態」を可能な限り作り出しているわけです。勝ち負けに対して距離を置き、あくまで技術の向上やメンタルに目を向けることで、一番自分の心をコントロールできる状態に近づくわけです。

株メンタル投資術②

目標金額を決めない

たとえば、「来年までに1000万円を儲ける」という目標を決めるだけで、自分の中で欲望が強く発生してしまいます。欲望を持つことが不健全だ、と言っているわけではありません。しかし、あなたの投資の技術や資金のあるなしを顧みずに、目標金額だけを持って株式投資を続けていると、自分のメンタルをコントロールすることはできません。

●今日、大きな失敗をしたことで、1000万円を稼ぐ計画が遅れてしまう

このようなギャップから、無意識にプレッシャーを感じたまま、今度はそれを取り返そうと無理したトレードに挑むようになります。

株メンタル投資術③

期限を決めずに3段階のギアを持つ

目標金額をどうしても持ちたいのであれば、スピードのギアを変えられるように、目標を3段階にして、軌道修正を繰り返してください。株式市場の動きをコントロールすることはできません。制御可能なのは、あなたの感情だけです。目標金額を無理して立てなくても、3つのルール「一貫性を保つ」「中立性を知る」「初心を忘れない」で、投資の技術を高めて、自分の心(メンタル)を支配できるようになれば、おのずと資産は増えていきます。

株メンタル投資術④

無くなってもいいお金で株式投資をする

極端な話、無欲の投資家に、欲の強すぎる投資家は勝てません。よく私は、無くなってもいいお金で株式投資をしましょうと話をします。たとえどんなに資産が減ろうと、相場が荒れていようと、考えているとおりにチャートが動いてくれなくても、焦ることはないのです。常に自分の心を支配して、習得した技術の繰り返しに目を向ける理想の心理状態を保つことができます。

株メンタル投資術⑤

心が揺れているときは投資から距離を置く

投資は生涯を通じて行うものです。強い意志の力を働かせて相場に張り付くようなものではない、と考えているわけです。みなさんのビジネスと置き換えてみても同じだと思います。どうしてもメンタルがコントロールできないとき、あなたも一旦仕事から離れる、ということをすると思います。休日を利用してスポーツジムに行ったり、旅行を楽しんだりと、心をリフレッシュするはずです。株式投資も同じです。ただ、ほとんどの投資家がそれができないのは、「株式投資をしていないと損をしてしまうんじゃないか」という持たざるリスクに、絶えず怯えているからにほかなりません。

株メンタル投資術⑥

長い時間をかけてコツコツと投資をする

コツコツと積み立てるように気長に投資するという行為によって、自分のメンタルである欲望や恐怖をうまくコントロールする術を学べます。お金に対する特別な感情(とくに執着心や欲深さ)を徐々に無くしていくことができます。

また、個人投資家が味方につけるべきは「時間」です。長く時間をかけてじっくりと投資をするというのは、自分の心と向き合える余裕を作り出します。そうした意味では、株式投資はビジネスの一環ですので「慣れ」も必要だということです。

株メンタル投資術⑦

市場の投資家心理をチャートからあぶりだす

チャートは、投資家の心理、欲望、恐怖、迷いが、そのまま形になって表れたものです。であれば、株メンタルを知ることで、それらを上手に活用することが可能となり、その後の動きを把握することができます。本当の人の心の動きは可視化できませんが、その部分をチャートが物語ってくれているわけです。

株メンタルは一生モノの武器になる

人間本来が持つ弱点を突いて、賢く利益を積み上げた投資家だけが、多くの利益を手に入れることができると考えます。私は、株式投資はマーケットにおける心理戦だと考えています。結局、相手の心理を読んだほうが勝ちなのです。あなたを勝ち組投資家へと導く最強の武器が株メンタルだと思います。手に入れれば、一生モノの武器になるはずです。

著者
上岡 正明
株式会社フロンティアコンサルティング代表取締役。MBA(多摩大学大学院博士前期課程)。一般社団法人日本認知脳科学協会理事。PR広報、ブランド構築、デジタルマーケティングのコンサルティング会社を設立。三井物産やSONYなど200社以上の企業ブランド構築、スウェーデン大使館やドバイ政府観光局などの国際観光誘致イベントやPRなどを行う。と同時に、放送作家として「笑っていいとも」「スーパーJチャンネル」「めざましテレビ」「タモリのスーパーぼきゃぶら天国」など人気番組の企画構成、「ストーリーランド」などドラマ脚本などを担当。メディアクリエイターとしてマルチに活躍。
出版社:
東洋経済新報社
出版日:
2022/8/26

※Bibroの要約コンテンツは全て出版社の許諾を受けた上で掲載をしております。

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