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経済指標 読み方のルール
サイモン・コンスタブル
ロバート・E・ライト
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知識・教養
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経済社会
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自動車販売台数

自動車やトラックにはボディに鋼材、窓やライトにガラス、タイヤにゴムなど非常に多様な材料が使用されます。自動車の製造が好調であれば、そうした周辺産業の仕事も増えるわけですから、フォードやトヨタが元気であれば部品をつくる会社もみんな元気になります。

一般の人にとって自動車やトラックは非常に高い買い物です。住宅に次いで大きな買い物と言えるでしょう。3万ドルの新車は年収の大半、人によっては年収以上に相当します。

そのため自動車を買う時には普通ローンを組むことになります。ローンを組むということは、その先しばらく返済を続けられる自信があるということを意味しますね。つまり雇用は安定していると言うことにもつながっています。

このときチェックすべき販売台数は、「中古車」ではなく「新車」です。前者の場合は、部品などの生産が行われませんから下降トレンドに入っている場合は、景気影響を受けやすい株などの資産は避けましょう。国債や格付けの高い社債にシフトすることがおすすめです。

中古住宅販売件数

アメリカ人にとってマイホームは人生の夢です。米国経済は、この指数抜きにして語れません。全米不動産業者協会が発表する中古住宅販売件数は、月ごとにどれくらい売れたかを表します。

なぜ新築ではなく、中古の指数が必要なのか。それは、中古住宅の販売件数が新築よりも多く、住宅市場の大部分を占めているからです。中古車と同じくローンを組めるという雇用安定の意味合いもありますが、その経済影響には「資産効果」と呼ばれる影響があります。

資産価格が上昇すると資産を持つ人々は自分が豊かになったと感じ、景気の先行きに対しても前向きな気持ちになります。収入は変わらないのにも関わらず、消費する量が増えると言われています。

その極端な例として挙げられるのは2000年代半ばの住宅バブルです。人々は住宅価格の上昇を当てにして、実際の購買能力以上にものを買い続けました。持ち家の価格が下落トレンドに入れば、逆に消費は冷え込み株価にも影響が出ると考えておけばよいでしょう。

不完全雇用

雇用統計は、景気のバロメーターを占う上で重要な経済指標です。ですが、それ以上に強力に役立つ指標が存在します。それが、不完全雇用です。

これは、フルタイムの求人が足りないためにパートタイムで働いている状態を指す言葉です。この指標は、現在ではなく未来のことを教えてくれる数字です。求職者側からすると、フルタイムで働きたいにも関わらずパートタイムで働いている状況です。

景気の低迷が長期化し、いよいよ体力がなくなってくると、企業は従業員の解雇に手をつけます。短時間労働者が増えたあと、しばらくしてから解雇がはじまり、失業率が増えていくのです。

もちろん、全ての企業がリストラの前段階として短時間雇用を行うわけではありません。ですが、全体的に見ることで、不完全雇用と経済の悪化の相関を見ることが可能です。

では、不完全雇用が下がれば景気は回復基調となるのでしょうか。状況を知りたい時には、不完全雇用よりも雇用統計を確認するとよいでしょう。残業時間の多い状態が増えてくることで、高い残業代を支払って従業員を酷使するよりも新しい人を雇った方が安上がりになるからです。

銅価格

銅は景気を知っていると言う言葉は、投資家のよく言う言い回しです。この価格が上がっているときは、経済が順調に動きます。逆に、銅価格が下がっているときには、経済の調子は思わしくありません。

では、なぜ銅という鉱石が経済指標として役立つのでしょうか。

まず、銅自体の供給は比較的安定しています。家や会社の電気配線などでよく使われれば、必要とされ需要により価格が上がるということです。自動車や電子器具などにも使用されるため、価格推移のグラフが高まれば景気が上向きになっていると判断して問題ないでしょう。

ただし、地震が起こったときや、労働者のストがあった場合などは銅の供給量が減少します。そのタイミングでも価格が上昇するため、景気変化と勘違いしない方が良いでしょう。

そういった値動きの場合には、産出量がもとに戻ることで価格が下がります。値上げや値下げの要因が何にあるのか、しっかりと情報を集めた上で判断していきましょう。

ビックマック指数

1986年に、米国エコノミスト誌の記者をしていた女性が考えた指標です。

非常にシンプルな考え方で、あらゆる国でビックマック・ハンバーガーが同じだとしたら、円やポンドなど異なる通貨の価値はどのように見えてくるのか、といった考え方です。

この裏側には、購買力平価説と呼ばれる、外国為替レートを決定づける概念の一つがあるといわれています。すなわち、同じ商品の価格は、どの国でもほぼ均一になるという考え方です。

米国のビックマックの価格が、対象国と大きく異なる場合、その国の通貨は過大、あるいは過小評価されていることが考えられます。アメリカで3ドルのビックマックが、中国で50セントで売られているとしましょう。これは、中国の通貨が過小評価されていると言うことなのです。

この数字には、人件費が入っているため先進国だと高い傾向にあり、途上国だと安く評価されやすい傾向があります。また、人々の趣味趣向や価格競争などもあるため注意が必要です。

金価格

金を持つものは全てを制すという言い回しがありますが、指標においても大事な意味を持ちます。なぜなら、金価格は経済・金融・国際政治におけるあらゆる不安を映し出すバロメーターと言えるからです。

たとえば1オンス260ドル程度だった金価格。2001年から2010年までの間に、一気に1300ドルを超えるほどになりました。10年間でおよそ5倍になったのです。

その背景には、ITバブルの崩壊、不動産価格の上昇や暴落、世界の金融システムが崩壊の危機にさらされるということがあり、金は魅力的な投資対象になりました。

景気が低迷したり、地政学的なリスクが顕在化した時にはこの金価格は急激な上昇を見せます。

大昔から信頼されたその価値が、不測の自体に備えるための価値へとなったのです。人の不安を映し出す鏡として、重要な指標として覚えておくと良いでしょう。

著者
サイモン・コンスタブル
ニュースキャスター、コラムニスト。ウォールストリート・ジャーナルのインターネットライブ番組「The News Hub」の司会を務めるほか、FOXやBBCなどのテレビ番組に多数出演。
著者
ロバート・E・ライト
オーガスタナ・カレッジにてNef名誉研究員およびトーマス・ウィリング研究所所長を務める。経済学のエキスパートとして14冊の著書があり、バロンズ誌やロサンゼルス・タイムズなど多くの新聞・雑誌に寄稿している。
出版社:
かんき出版
出版日:
2012/02/22

※Bibroの要約コンテンツは全て出版社の許諾を受けた上で掲載をしております。

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