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大暴落!その時、どう資産を守り育てるか
澤上 篤人
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経済社会
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株式
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バブル崩壊は、すぐそこまできている!

今の金融経済は、国が見せている偽物!

なぜこれほどまでに、各国の平均株価は上昇し続けているのでしょうか? 今の経済状況は「冷めたバブル」なのです。「冷めたバブル」とは、景気が良いわけでもないのに、株価だけが1人歩きして、上昇を続けているような状態。下のグラフをご覧ください。

出典元「大暴落!その時、資産をどう守り、育てるか」

これはバフェット指標と呼ばれ、世界の株式時価総額とGDPの割合を示したグラフです。GDPに対して株式時価総額が100%を超えると株式相場が加熱気味だと言われているのですが、近年は100%を大きく上回っていることが分かります。つまり、実体経済と比べて株式市場が一人歩きしている状態なのです。

この大きな原因は以下の2つです。

・先進国を中心に大量の財政資金が投入されていること

・各国の中央銀行が膨大な量の資金供給をしていること

コロナ禍の景気悪化をなんとか食い止めようと、各国は身を削って様々な政策を打ち出しています。そして各国の中央銀行は株価をなんとか維持しようと、大量の国債を買い入れるなどして、金融市場に莫大な資金を投入し続けています。

その結果、実体経済は大きく改善しているわけではないのに、金融市場には国が生み出した大量の資金が流れ込み、実体を伴わない株式市場の過熱が起こっているというわけです。

バブルはバブル。とにかく離れろ! 

「冷めたバブル」の表現通り、世界ではこの状況をあまり危険視していない人が多いようです。その理由は、今回のバブルは先進国の中央銀行が胴元であり、「資金はいくらでも供給する」と断言しているから。

 

株価が下がりそうになったら、政府がお金を注ぎ込むことで株価を維持してくれるため、投資家は安心して株を買い続けることができるのです。しかし、バブルはバブル。とにかく離れるべきものなのです。

 

今回のバブルは、上述のように中央銀行が胴元となり大量の資金を注ぎ込んだ上に、そこに安心した投資家が、さらに金融商品を買い続けることで生まれたバブル。各国の大量の資金が絡んでいることもあり、「かつて例がないほどに巨大化したバブル」です。

 

さらには、安定して株価が上昇していたことから、「誰も自分の投資判断や利益確定で売ってこなかった」状態です。そのため、ひとたび市場が下げに転じた途端、投資家が一斉に売りに走り、その先はもう地獄のような状態となると予想できるのです。

 

バブル崩壊後の世界

今回のバブルが弾けることで、世界経済は今までにないほどの大打撃を受けることでしょう。しかし、いつの時代でも生命力のある個人や企業というのは、どんな混乱や困難もものともせず、浮き上がってくるものです。

本当に強い企業が生き残る時代に!

 

今までのバブル崩壊において、日本では国が「企業を潰させない」を優先した政策を打ち出すことで、企業や金融機関に対して甘い運営を続けてきました。しかし今回のバブル崩壊では、国は多額の国債を発行し、無理に無理を重ねているため、企業の救済どころではなくなっています。

 

本来、企業というのは国の支援を期待するのではなく、自力で経営していくのが当たり前のこと。バブル崩壊による金利の上昇により資金調達が厳しくなり、国の救済も見込みがないとなると、周りに甘え続けてきた「ゾンビ企業」は淘汰され、本当に力のある企業だけが生き残ります。「ゾンビ企業」の倒産によって一時は大混乱となるでしょうが、未来の日本の生産性向上を考えれば、これは避けて通れない道なのです。

崩壊後に備えて、どう行動すべきか?

このバブル崩壊によって、世界経済は今までにないほどの大打撃を受けることでしょう。では、バブル崩壊に備えるために、我々は今からどう対策しておくべきなのでしょうか?

本物の株式投資は簡単なのに、皆できていない 

一般的に株式投資というと、値上がりしそうな銘柄を見つけて、利益予想や、儲かりそうなビジネスをしているか等をチェックするイメージがあるのではないでしょうか? しかし実は、「そのスタート地点から間違っている」のです。

 

そんなことは、世界中の誰もがやっていること。皆と同じように考え、同じタイミングで買うことになり、投資の初歩である「安く買う」ことがまずできません。

 

そもそも、「儲けよう」とすること自体が長期投資においては最悪の行動であり、「結果的に儲かってしまう」を学ぶ必要があります

長期投資の出発点「応援買い」

では、具体的に「儲かってしまう」ためには何をする必要があるのでしょうか?

出発点は、「生活者にとって大事な企業を応援する」こと、すなわち「応援買い」が大切になります。

 

そもそも投資とは、「こんな社会をつくっていきたい」という夢や思いを乗せて、お金を働きに出すこと。しかし世の中の多くの投資家は、「投資運用」ではなく、「ただ儲かればいい」という「資金運用」を行っています。

 

そのため多くの投資家は、少し株価が下がると「損したくない!」と思い、皆揃って売りに出します。しかし「応援買い勢」は「この企業になくなって欲しくない!応援したい!」という気持ちから、株価が下がっているそんな時こそ株を買い増すことができるのです。

 

株価というのは、長期で見ると上昇することが多いもの。一度株価が下がっても、応援買いなどにより株価が持ち直し始めると、「儲けるため」だけに株を買っている「にわか応援団」が勝手に高値で株を買い続けてくれるため、あとは放っておけば、「応援買い勢」は気付いたら「儲かってしまう」というわけです。

(応援買いのイメージ図)

出典元「大暴落!その時、資産をどう守り、育てるか」

具体的な投資手順 

この「応援買い」の具体的な方法について、以下の手順で進めるとよいでしょう。

  1.  応援したい企業を見つける
  2. 株価暴落を待つ
  3. 適当に買う
  4. 買ったら、のんびり待つ
  5. にわか応援団にまかす
  6. 売る時も、適当でいい
  7. 売ったら、「すぐ、次はどれか」はない

あくまでも、「今は買い時か?売り時か?割高なのか?」などと小手先のテクニックで考えるのではなく、心から応援したい企業を見つけ、暴落したら買って応援してあげる。これを徹底することが大切だということです。

最後に

最近は世界でも異様な株高を見せ、日本でも「貯蓄から投資へ」の流れに向かおうとしていますが、もうバブル崩壊はすぐそこまできているのです。備えが必要です。

 

「応援買いで資産運用なんて、そんな甘い考え……」と思った方もいらっしゃるのではないでしょうか?

”甘っちょろい? 青くさい? フフフ、なんとでも言ってくれだ。われわれ長期投資家は、バブル崩壊を平気な顔して、「待ってました」のバーゲンハンティングに入るのだ。 甘っちょろいとかいっている皆さん、暴落相場を買いにいけますかな。

著者
澤上 篤人
さわかみホールディングス代表取締役、さわかみ投信創業者。同社の投信はこの 1 本のみで、純資産は約 3300 億円、顧客数は 11 万 7000 人を超え、日本における長期投資のパイオニアとして熱い支持を集めている。
出版社:
明日香出版社
出版日:
2021/06/11

※Bibroの要約コンテンツは全て出版社の許諾を受けた上で掲載をしております。

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