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伝説の7大投資家
桑原 晃弥
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株式
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伝説の7大投資家

本書では、7人の投資家の生き様やどうして伝説と呼ばれているのかについて紹介されています。

ジェシー・リバモア(1877〜1940年)

1929年の大恐慌の引き金を引いたとも言われる「ウォール街伝説の投機王」です。驚くほどの成功と幾度もの破産を経て悲劇的な最期を迎えました。

ベンジャミン・グレアム(1894〜1976年)

ウォーレン・バフェットが「生涯の師」と呼ぶ投資理論家。割安指向の「バリュー投資」の創始者として知られています。

フィリップ・フィッシャー(1907〜2004年)

数字だけで投資先を選ぶグレアムに対して、数字ではなく将来の成長性や競争力を重視する「成長株投資」の創始者です。バフェットのもう一人の師とも呼ばれています。

ジョージ・ソロス(1930年〜)

「クォンタム・ファンド」の設立以来、幾度かの損失はありますが、ほぼ一貫して勝ち続ける投資家です。「世界一のマネー・マネージャー」。「イングランド銀行を叩き潰した男」とも呼ばれています。

ウォーレン・バフェット(1930年〜)

「世界一の投資家」「オマハの賢人」と呼ばれ、投資の世界以外にも強い影響力を持っています。毎年卓越した成績を挙げ続ける負けを知らない投資家です。

ジム・ロジャーズ(1942年〜)

37歳で「クォンタム・ファンド」を離れ、バイクと車で2度も世界中を回った「冒険投資家」です。自分の目と耳で成長を確信した新興国市場への株式投資を得意とします。

ピーター・リンチ(1944年〜)

マゼラン・ファンドの資産を在任中の13年間で777倍へと成長させた伝説のファンドマネージャー。個人投資家向けに「アマチュアの利点」を説いています。

今回は、その中からピーター・リンチについてご紹介します。

ピーター・リンチの投資のきっかけ

今ある資産を、100倍に増やしたい。誰もが一度は願う願望ではないでしょうか。彼は、たったの13年でファンドの運用資金を1800万ドルから140億ドルに育て上げた凄腕のファンドマネージャーです。

そんな彼の家族や親戚は株式投資に対して、根強い不信感を持っていました。そんな中、家計を助けるためにはじめたゴルフ場のキャディのアルバイトが株式投資のきっかけとなったのです。

このキャディのアルバイト、裕福なゴルフプレイヤーから成功した株の話を聞ける機会を得ることができます。家族から聞いていた投資に対する不信感がだんだんとなくなり、投資というのは科学ではなく芸術であると感じ始めます。

大学に進んだリンチは、株への興味を持ちながら、統計学や数学よりも論理学や心理学を中心に学んでいきました。裕福ではなかったものの、初めての株式投資を実施。2年も経たないうちに5倍株となったことで彼は、ペンシルバニア大学のウォートン校へ進学ができました。

ファンドマネージャーとして快進撃

ゴルフキャディのバイトは、株への興味だけでなく将来の職を得ることにもつながりました。お客さんの中に、のちに就職することになるフィデリティの社長がおり、同社でアルバイトをすることに。

投資信託を売ることにより成功した会社に勤め始め、アナリスト、ファンドマネージャーを経て、マゼラン・ファンドの運用を1977年に開始しました。

このファンド、最初から成功が約束されていた訳ではなくなかなかの逆風に見舞われていました。同ファンドには繰越損失が5000万ドルあり、しかも、市場低迷により新規募集を中止するという厳しい環境下です。

にもかかわらず、彼がファンドを再生し成長させることが実現できたのは彼の熱心な企業調査の賜物でした。

とくに、自分が投資していない企業に対して、見逃していることはないかということを積極的にチェックしたと言われています。

彼は企業に会うとかならずこのような質問をしたと言われています。

「ライバル社の中ではどこが最も脅威となるのか?」。

この質問は見落としを減らすだけでなく、その企業の視点でのライバルを見るということは成長企業を見つけるひとつのチャンスとなるのです。

投資理由をあなたは説明できますか?

ピーター・リンチの投資において、初心者から上級者まで参考にすべき格言があります。それは、投資理由が小学生が分かるレベルまで落とし込めているかということです。

分かりやすさと簡潔さがそこには必要です。自分なりに企業を調査し、検討し、判断するということ。間違っても、誰かが薦める、知名度があるからといった程度の理由では買ってはいけないということです。

株を実際に買う前に、会社の魅力、成長性、弱点など、もう一度二分間だけ自問自答してみるとよいでしょう。子どもに理解してもらえるまでに理解がこなれていれば、その会社に対する投資準備は万全と言えるでしょう。

アマチュアはプロの真似するのは危険

そんなファンドを急成長させたピーター・リンチですが、突如ファンドを辞めることになりました。通常、敏腕ファンドマネージャーとなると、引き抜き工作や新たに自分でファンドを立ち上げるなどが一般的です。

しかし、彼はアマチュアに対して投資の仕方を伝える活動にシフトしていきました。世界一とも呼ばれた彼の投資手法に学びを得たいという人は多いと思いますが、彼のアドバイスは意外な言葉からはじまります。

まず1つめのアドバイスは「プロの言うことに惑わされるな。普通の人でも頭の3%を働かせれば、平均的なウォール街のプロと同等、あるいはそれ以上の投資ができる」ということでした。

逆にアマチュアがプロの真似をしようと後追いするときにこそ失敗するのです。あの株が買いだ、今こそ投資の時代だと考えるときほど、ブームは後半に差し掛かっています。

投資にも労力を

彼が成果をあげるための格言として伝えている言葉は、非常に簡潔です。

「投資に対して、家電を買うくらいの労力を費やそう」

株式投資というのは、数分間で決めてしまう。家電を買うためには何ヶ月もかける。株式投資よりも電子レンジを買うことのほうに、より時間をかけているのはおかしい。という言葉です。

株式投資をするときに、調査は欠かせません。せめて、家電と同等程度に労力をかける必要があるのです。

理解して買っていますか?

株式市場に上場している企業では、普段食べたり使うメーカー系の株から、未来を作るテクノロジーの企業など多岐に広がっています。本当に投資すべき株は、自分の理解していたり利用している企業の株です。

証券会社が推奨する、一目見ただけでは何を作っているのかさっぱり理解できないようなテクノロジー企業に投資していませんかというアンチテーゼでもあります。理解できない高級なものに、大事なお金を預けてはいけません。

理解できないものを理解しようと努力することは良い心がけですが、そこから得られる成果というのは意外と小さいものです。むしろ知っていることや普段触れていることの強みを活かして投資を行うべきなのです。

著者
桑原 晃弥
経済・経営ジャーナリスト。慶應義塾大学卒。業界紙記者を経てフリージャーナリストとして独立。トヨタからアップル、グーグルまで、業界を問わず幅広い取材経験を持ち、企業風土や働き方、人材育成から投資まで、鋭い論旨を展開することで定評がある。
出版社:
KADOKAWA
出版日:
2017/06/10

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