決算書といえば、企業の健康診断表であり成績表でもあります。非常に分厚く難しい印象もあるのではないでしょうか。しかし、実は見るのは簡単です。
企業のHPのIRやIR資料室と呼ばれるページを確認しましょう。その中で、決算の主要情報を記載した決算短信の最初の数ページを確認すれば良いのです。
これはサマリーと呼ばれ、決算書の9割が要約された内容です。この決算短信を軸に考えていきましょう。
テンバガーと呼ばれる、10倍になるような成長株を見つけるためには、まず実際にどのように株価が変化するのか疑似体験することが大切です。
2016年7月から5年間で最大79.0倍になったレーザーテックという企業の株をご紹介します。連結経営成績という部分をピックアップしてみましょう。
2017年6月期 売上13.6%増
2018年6月期 売上23.0%増
2019年6月期 売上35.4%増
2020年6月期 売上48.0%増
2021年6月期 売上65.0%増
上記のように売上が右肩上がりで上がっていくだけなく利益もまた向上していきました。
2017年6月期 利益9.0%増
2018年6月期 利益14.9%増
2019年6月期 利益37.3%増
2020年6月期 利益92.9%増
2021年6月期 利益74.9%増
業績は前年比でどんどんと大きくなり、株価もまたそれに呼応するように高くなっていきます。特に株価が大きく変化したのは2019年以降。最終的には5年換算で79倍へと株価が高まりました。
こうした大きく成長する株は、まず売上が2倍になり、そして利益も2倍になります。その上で、連続で成長する株と判断されれば株価にも影響があり2倍になる、と言えるのです。
こうした成長株を見つけるには、企業の決算短信を5年分開いてチェックするだけで良いのです。慣れてくれば3分程度で確認できます。その上で、下記のチェックをしていきましょう。
というこの2つ、(ないしは3.を含めた3つ)を軸に、成長株か否かを判断していきましょう。
成長株は、めざましい成長が見込まれる半面、成長止まりとよばれる頭打ちになる状況や、市場を取り切ってしまい成長の鈍化が起きる場合もあります。
自分の保有している株が、その状況に陥っていないか。また逆に、さらに買いますべきかの判断は、都度決算短信をチェックすることで判断すべきです。具体的に、どこをチェックするべきか紹介します。
決算短信において、一番に確認すべき項目は「売上と利益の伸び」です。先ほど取り上げたレーザーテックでは、2021年6月期の決算では、前年同比で2倍以上に伸びています。印象的なほど好業績な、スター株とも呼べる存在です。
現在の株価においては、この成長も織り込み済みの高い金額になってしまっています。なので、成長の初動や成長加速前に買うことが大切です。
会社の財務状況がどうなっているか。それは、賃借対照表を確認することで判断可能です。
成長株の純資産は基本的には、増加し続けます。大きな減少があったり、連続での減少がある場合は、成長倒れのサインになります。
特に純資産が20%以上減少している場合には、投資対象から外すことも検討しましょう。
自己資本比率は会社が持つ総資産に占める純資産の割合です。
「自己資本比率=純資産÷(純資産+負債)」で計算します。この比率があまりに低いと、借金をしてたくさんのビジネスをしていることになります。場合によっては、借金を返せないで倒産となりかねませんので、注意してください。
また、大きくこの比率が減るのは純資産が減少するか、借金が急増しているときなので、注意が必要です。
・20%未満は投資対象から外す
(金融業の場合は、4%未満)
株価は過去の業績よりも、将来の業績(見込み)によって値動きします。業績予想を公開している企業は、決算期末の会社の予想を見ることが可能です。
この業績予想に対して下方修正がある場合は、成長株のアラートが出ている状況です。場合によってはストップ安にまで動くこともあるため、その内容については確認が必要です。
決算短信の中には現れてこない、業績進捗率もまた成長を判断する重要要素です。四半期ごとの実績値が、1年通じて合算された場合どの程度達成するのか。
高い成長率を記録する企業は、会社の予想を上回る売上・利益を出します。
例えば、第1四半期100億円の売上記録し 400億円の売上予想を立てた企業があるとしましょう。より高い成長をする企業は、第2四半期で100億よりも多くの売上を稼ぎます。結果、当初400億円と考えていた売上予想は、蓋を開ければ通期で500億円となったというシナリオも考えられます。
東洋経済新報社の会社四季報の二期予想というのも非常に大切です。自己の投資だとどうしても楽観視してしまったり、保守的な株に終始しがちです。
必ずしも本書が当たるというわけではありませんが、自己判断のセカンドオピニオンとして、確認することを心がけましょう。
ネット証券や株式アナリストなどの業績予想や目標株価も、株価を決める上での一要素となります。銘柄のカバー範囲は、大手が多いため成長株について網羅されていない場合もありますが、カバーされている場合は、その予想が一つの株価影響をもたらす場合もあるため注意が必要です。
成長株投資では、企業の特徴や強みを理解するための「定性分析」も重要となります。
サマリーに記される定性的情報と呼ばれる経営成績には具体的な会社の経営状況が記されています。企業の傾向により、強気に記されている場合や、楽観的な見通しも書かれていますが、情報開示姿勢と将来性、成長性は別物です。
企業の発表傾向を見つつ、表現の差異や強気に書かれたタイミングなどを見極めることは企業分析へと繋がっていきます。
3年で2倍という水準。レーザーテックは非常に高い成長ができましたが、この伸びというのは、実はなかなかに厳しい基準です。
ですが10年後に10倍という成長をする株は、この基準点を超えています。3年後には2倍、6年後には4倍、9年後には8倍と、成長もまた掛け算していくのです。
1年の成長で切った際、25%以上の売上・利益成長に到達しており、今後も成長持続が期待できる銘柄に投資することを目指しましょう(ただし、割高株も大きく、成長倒れになった際に、損失が大きくなるリスクもあります)。
決算結果が良いことは、必ずしも株価上昇にはつながりません。大まかに4つのパターンを紹介しましょう。
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