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マーケットの魔術師 システムトレーダー編
アート・コリンズ
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本書は14人の一流トレーダーとのインタビュー集です。本書の特色をなすのは全員がメカニカルトレーダーという点です。メカニカルトレードというのはコンピューターに組み込んだシステムの指示に機械的に従ってトレードする手法を言います。

大きな利益を挙げているトレーダーはメカニカル派が多いと言われています。その理由として人間の弱みを完全に排除できるからです。裁量トレードでは欲望や恐怖の感情に負けて何度も同じ過ちを犯すが、機械的に売買を行えばそうした感情の入る余地がありません。

14人の一流メカニカルトレーダーが語るノウハウは、メカニカルな手法に関心をもつ人にとって大いに示唆に富むものと思います。

序論

メカニカルトレーディングシステムとは、決定がすべて機械的(メカニカル)になされるトレード方法である。時にはプログラム全体が自動化されていることもあるし、あるいは、仕掛けと手仕舞いの注文の全部をトレーダーが出さなければならないこともある。しかしいずれの場合でも、過去のパフォーマンスデータに基づく研究によって良好な結果が期待できると証明された行動だけが実行される。

メカニカルトレーディングを通して、勝利への道のりをほぼ確実に判断できるようになる。十分な資金量があれば、また、理論的に説明されたドローダウンに耐える用意があれば、さらに、自分のプログラムを間違いなく組んでいれば、もはや恐怖も欲望も感じずにトレードできると自信がもてるようになる。度胸をエネルギー源とする必要もなくトレードできるようになる。パニック、絶望、消耗を経験することもなくなる。プログラム化が適切に行われていれば、費用のかかる通常の習得曲線に従うこともなく、以上のことが理論的には可能になるのである。

肝心なのは一貫性である。シグナルには全部従わなくてはならない。自分で選んではいけない。シグナルがひどい間違いを犯しているように思えても(特にそういう場合こそ!)、アプローチを堅持すべきである。

ロバート・パルド

「先物トレーダーはだれでも、基本的な目標として、最小のリスクで最大の金額を稼ぐことを目指すべきです」

トレードで利益を上げるためにはしっかりと下調べをしなければいけません。利益を挙げている人は何らかの観点、得意分野を持っています。持続的に役立ってくれる自分の得意分野を見つけなければいけません。それを可能にする優れた手段がシステムです。

アイデアがわいたときは、自分でプログラミングします。他の市販プログラムを使うこともあります。まず初めに、技術的な観点からそれが自分の期待通りに動いてくれるかどうかを見ようとするのです。S&Pが一番気に入っているから、必ずと言っていいほど試作品はS&P市場用に作ります。これには良い点と悪い点があります。良い点はS&Pのトレードで良い成績を挙げるモデルが私にとって都合がいいということです。ボラティリティが高くスイングがとても大きいからです。

しかし、そこでうまくいっても他の市場ではうまくいかない可能性があります。それが欠点です。そして最終的にはどんな市場でも同じシステムを用います。ただしリスクの違いに応じて各市場の重みづけも違ってきます。

私は各市場に対してボラティリティやリスク特性に基づいて割り当てる資金量を決めています。良いシステムがあったとしても、適切な元手を使ってどうトレードするかを理解していなかったら損が出ます。マネーマネジメントとして最低限必要なことは、絶対にオーバートレードしないことです。嵐をやり過ごす十分な資金を確実に手当てしておきます。

重みづけとリスクの決定に関して本当に大事なことは、主としてそのことから、最悪の下落に耐えるために、あるシステムでトレードするのに必要な資金量が決まってくるということです。

チャーリー・ライト

「研究の中で私たちが見つけた面白い事実は、結局指標は大事でないということです」

平均的なトレーダーが自分の裁量で動いて成功するチャンスは非常にわずかです。なぜなら、相場には人間の行動が現れます。人間の性質、つまり恐怖と欲望の総体が現れるわけです。恐怖と欲望が相場に姿を見せると、私たちは人間として、どうしてもそれに目を引かれます。そのことで、自分の人間的性質が刺激され、影響を受け始めます。研究によれば、トレードに関するかぎり、人間的性質は間違っているということがはっきりと示されています。恐怖と欲望が一層強くなって、客観的でいれなくなるからです。

そこから引き出されるのは、最高の成功を収めるトレーダーは、人間的性質に逆らってトレードできる者だということです。それを裁量でやるのは非常に難しいことです。メカニカルなやり方を採ったとしても相当に難しいことなんです。それでも、メカニカルなシステムを使っていて、人間的性質が「そのトレードに手をつけるな!」と叫んでいるときでもトレードでき、そのままやり通せる自制心があれば、トレードで利益が上げられるでしょう。長いことメカニカルトレードをしてきた人のだれもが私に言うことですが、実行の一番難しいトレードがたいていは最大の利益につながります。そうしたトレードは人間的性質に逆らうものなんです。

本当に必要なのはトレードを自動的に行う機械です。アイデアを一定期間検証して、利益が出ると証明できれば万全だと考えています。私が最終的に理解したのは、大半のトレードが本来トレンドフォローになるはずだということでした。言いたいのは、トレードはすべてトレンドを追いかけるもので、ただ時間枠だけが違うのだということです。

また、研究の中で私たちが見つけた面白い事実は、結局指標は大事でないということです。移動平均線、n日ブレイクアウト、モメンタム・エントリー、MACD、RSIのどれであってもです。トレンドトレーディングをしているかぎり、同じ時間枠で比べてみれば、どんなテクニックを使うかは大して重要なことではありません。

つまり、トレンドを捉えるためには「自分の使いやすい指標にしよう」ということです。

あとはリターンを待っている間にどうやってリスクを限定するかを考えます。システムを複数にするか、銘柄を複数にするか、マネーマネジメントに取り組むか、のいずれか、または全部の方法をとることになります。

結局これらすべてが、トレードの問題ではなく、ビジネスの問題となります。自分たちのビジネス計画を貫徹することに最大のチャンスがあるのです。

ラリー・ウィリアムズ

「富を作りだすのは、システムではなくマネーマネジメントです」

相場の調査やシステムを作り上げたりするとき、私は相場を長期と短期の二重の観点でとらえます。長期的にはファンダメンタルズが相場を動かし、短期的な変動は感情によって作られます。最初は長期的にとらえます。上昇や下降に繋がりそうな条件を探すのです。例えば、コマーシャルズ、大衆の動き、取組高、シーズナルな要因などが長期的なシナリオを作り上げます。それに、バリュエーションも大事です。もちろん望ましいのは過小評価された銘柄です。

短期的にはチャートは感情を反映します。例えば安値引けの日があって、相場があまりにもひどくみえるので、だれもが次の日の寄り付きで投げてきそうなときがあります。こんな場合にはだいたい買いに入ります。群集の感情を利用したいと考えるのです。良いトレードを試み実行するために複数の条件を立てています。

私が人に言うのは、トレードを始める際には少額でゆっくりはじめなさいということです。つもり売買で訓練を積みなさいとも、だんだんと口座残高を増やしていきなさいとも言います。なぜなら玉の立てすぎは感情的な問題を引き起こすからです。

マネーマネジメントは感情のマネジメントです。感情の揺れが大きくなるのはトレード行動そのもののせいではなく、投入した自分のお金の額が大きくなりすぎるからです。自分にとって心地の良いリスク要因はなにかをつかみ、リスクエクスポージャーをできるだけ低く保たなければいけません。

ルイス・ルカッチ

「第一日目からこれまで、私たちが開発してきたのは全部メカニカルなものでした」

人間のかかわりは0%にして100%メカニカルでないと成功できないと悟りました。トレーダーにとって最悪に近いのは、いきなり抜群の成功を納めてしまうことです。やり方を飲み込んだと思い込んでしまうからです。システムに自分の判断を加えてみたくなります。そんなときにたいてい相場の流れが変わります。それに合わせて方向を変えることができなければ、相場に叩きのめされてしまうことになります。

一方、システムは、冷静で計画的で、統計数字とパターンしか見ませんから、余分なことは気にかけません。ただ損失の管理だけを心掛けています。そのおかげで、次の日もトレードができ、良い時期には損を取り戻すことができるわけです。

システムには良い時期も悪い時期もくぐり抜けることになるという意味で落とし穴があります。しかし、私のシステムの長所のひとつは、できるだけたくさんのタイプのトレード戦略を組み合わせようとしている点です。そのなかには変動を先取りするだけでなく、動きがどこまで進み、それがどんな意味があるか、ということを調べるシステムがあります。

たとえば、市場のボラティリティが低い時期には、どうしてもシステムはうまくいきません。利益の秘訣はいつそんな時期に入るのかを発見したり、今がその時期なのかどうかを見極めたりすることにあります。そうすれば、配分を減らすとか、ちゃぶつきに遭わないようにパラメータセットを長めにするとかのシステムの手直しができます。

マネーマネジメントもだいたい同じような形でシステムに組み込まれています。システムは、ボラティリティをもとにして、資金投下は最大でx%までだと決めます。専用のマネーマネジメントモデルが最良のリスク・リワード・トレードを見つけだし、そのあとでポートフォリオ全体でセクター間のバランスを維持しようとするわけです。

キース・フィッチェン

「断言できることですが、将来、分析したとおりにトレードできるという統計的信頼性を得るためには、開発サンプル中に何千ものトレードが含まれていなくてはならないのです」

キース氏は有名なアベレーションシステムの販売会社であるトレードシステム社の社長である。アベレーションシステムは長期的トレンドフォロー型で株式を除くほとんどすべての商品市場を追跡している。

株式指数を除く全商品、つまり穀物、食肉、金属、エネルギー、金融、ソフトといった真の商品をトレードする最良の方法はトレンドフォローのテクニックです。純粋な商品は絶対的な需給に基づいて取引されます。

売り手と買い手の両方に本当のヘッジャーがいるため、価格は実際にいつもファンダメンタルズに従っています。こういう条件の下では、市場の背後で需給のバランスを崩すような出来事が起きると、そこにトレンドが形成されます。それをとらえて、私たちは先物取引を行うわけです。

トレンドフォローシステムの問題は市場にトレンドがある期間は全体の三分の一しかないということです。でも、それで十分です。多様な市場を対象にして、しっかりしたトレンドを捉えることで、それ以外の市場の埋め合わせをしてくれるはずです。それに、アベレーションはいつも市場にいるわけではありません。強力なトレンドを探しているのです。名前もそこから来ています。並はずれた(アベラント)価格トレンドを求める、というわけです。価格がどっちかの方向に強力なトレンドを作っているときにだけ、トレードしたいのです。それ以外のときはジッとしています。

チャートを見て、そこから次に何が起きそうか自分で決めることができるとしたら、それは、いつも市場に合わせて自在に儲けられるということです。それは本当に素晴らしい才能です。 私にはそんな才能はありません。チャートから次に起きることを読めるわけではないのです。だから、メカニカルにやらざるを得ません。

私が満足しているのは、ドローダウンに陥ったときでも、その理由がちゃんと分かっているという点です。私はやるべきことをやってさえいればいいのです。同じ量をトレードしていれば、そこから抜け出せると分かっているわけです。

裁量でトレードする人たちは、行動を変えないように、自分を押さえつける必要があります。それは、ドローダウンのときには、感情的に非常に難しいことです。また、相場が急騰すれば賭けに出たくなって、目に入るあらゆるシグナルを口実にして、限度以上の玉を抱え込んでしまいます。メカニカルトレーダーは、普段どおりのアプローチを続けるのにそんな苦労をしませんから、ドローダウンや急騰のときには有利な立場にいる、と言っていいでしょう。

ウェイン・グリフィス

「システム開発者ならだれでも、システムで対処しきれない状況のあることを認めるでしょう」

私の考案したシステム「アンティシペーション」では、押しや戻りの動きの後の反発で仕掛けます。反トレンド的な動きの中でレンジからのブレイクアウトを捉えようとします。トレンドには従うのですが、最初の押しや戻りの動きが起きるのを待つのです。

チャートは、その形を見てトレードを仕掛けるかどうか決めるために使います。形がよくて、しかも相場が押して、チャートを使ったプログラムが上昇の可能性を示しているときに仕掛けるのです。

ストップもチャートパターンを見て決めます。毎日トレードしていれば、チャートパターンから「手仕舞い」や「反転」のポイントが必ず見えてくるものです。チャートは変化するものですから、今日の時点で明日の手仕舞いのポイントを知ることはできません。どんなことでも深く没頭すれば、なんでもはっきりと理解できるようになる、というのが私の考えです。

チャートパターンによるストップが離れすぎてしまう場合に備えて、安全弁のためにマネーマネジメントに基づくストップも使います。それもメカニカルなもので、相場の流れに従って発動されます。

そして、信頼できるシステムを手にするために一番大事な基準は、バックテストをして有効なモデルとシミュレーションを構築することができるかどうかです。

トム・デマーク

「一七人のプログラマーを使って四~五年検証した結果、分かったことは、基本的な四~五種類のシステムの成績が一番だということでした」

私のテクニックは先取り型のものです。目の前のトレンドにとび乗ろうとするよりは、それを予測します。トレンドフォローのシステムの問題は、遅すぎるし、相当量の玉を買い付けようとする競争が激しくなりすぎるということです。

そして、私のシステムは出尽くし論のアプローチを取っており、弱いところで買って、強いところで売ります。相場で底を打つのは、賢い買い手のせいではなく、売りが出尽くすからなのです。逆に、天井を打つのは、買い手が出尽くすからです。

相場には繋がりというものがあります。トレードの際にはまず状況をとらえなければなりません。買いから入ろうとしているのかそれとも売りからか。そして相場が反転する天井または底を正確に捕まえます。

また相場の転換を先取りする方法では標準的な買われすぎ、売られすぎの指標は考慮しません。ダイバージェンスは原因というよりは兆しというべきものです。大勢の人が相場の現状と買われ過ぎ、売られ過ぎの基準を比べて、相場が買われ過ぎ、だとか売られ過ぎだと考えます。ところが実際には、買われ過ぎにも軽いものと極端なものという区別があるのです。この点ではもっと良い基準があり、RSIで立会日で6日間以上70%を超えていれば相場は極端な買われ過ぎです。6日間以上30%を下回っていれば極端な売られ過ぎとなります。

マイク・ディーバー

「このことはどんなに強調しても十分ということはありません。ずっと先まで生き延びようと思ったら、ひとつの戦略やひとつの市場だけでポートフォリオを組むものではないのです」

私が会長兼研究担当取締役を務めるブランデーワイン・アセット・マネジメント社ではマクロの強気・弱気の市場条件とは無関係に成果を上げることを狙っています。一市場のショックがポートフォリオの相当部分に対して、一度にひどい影響を与える危険性を最小限にとどめる必要性を十分に認識しているためです。

そのため、投資アプローチを支える二本の柱は、戦略や市場の分散化と非相関性です。個々の市場の動きとは独立したリターンを考えます。私が求めるのは使っている個々の戦略の背後にある収益ドライバーだけから生み出されるリターンなのです。

分散化とシステム化による運用を行っています。システム化というのはバックテストをしたあとで、将来に向かって安定的に適用できる継続的なアイデアを意味します。日々変わるような判断を取引のなかには持ち込みません。しかし、戦略の開発の段階では実際に有効性を評価するために大いに判断力を用います。有効性の評価では収益ドライバー、つまり戦略の背後にあるコンセプトを理解する必要があると考えます。株式相場であれば、なぜ株からリターンを得られるかを理解したいのです。

様々な要因を使ってバックテストを行い、株価を動かすドライバーを決定しようとするわけです。そして有効だと感じたとき初めて、一種の最終確認の形でバックテストを行います。つまりファンダメンタルズもメカニカルのアプローチに含めます。

私の基本方針はポートフォリオの中にできるだけたくさんのドライバーを入れることです。ドライバーを多様化して、一斉に同じ外部の出来事から影響されるようなことのないようにしています。

ボー・サンマン

「電話でいきなり、『もしもし、必ず儲かるシステムの名前を教えてほしいんだけど』と切り出されたことが数えきれないくらいありました」

ボー氏はいわば「消費者のお目付け役」としての役目を果たしてきた。ボー氏の発行するクラブ三〇〇〇ニュース誌はシステムとその推奨者に関する情報の中央情報交換所として機能してきた。

クラブを通じて「トレードについて人がどんなにバカげた考えをしているか」ということを学びました。損もリスクもまったくなしに、利益だけを得られると考えているのです。

皆気づいていないことなんですが、成功するには二つのものが必要です。システムそれ自体と自分自身です。完全なシステムが与えられたとして、果たしてその人に、シグナルに従う勇気があるかどうかが問題なのです。システムの教えるとおりに動かないなら、システムでトレードしていることにはならないのです。情報不足の現状ではシステムトレードが最高のチャンスを与えてくれます。

さらに考えられる最悪なさなかにあるときにも、自分の方法の修正を考えるべきではありません。予想外のことに出会うのはしょっちゅうですから、毎日ルールを付け加えていくことは可能です。でも、そんなことをしたら、まったく意味のないシステムになってしまいます。

一つのルールで一〇〇回トレードできるのが最高のシステムです。駄目なシステムは、一回のトレードに一〇〇ものルールを使います。

ビル・ダン

「私は手の込んだことをしなくても、チャートを見ただけで分かったのです。『ランダムなんかじゃない』ってね」

最初のプログラムは長期トレンドフォローから利益を上げようとするアプローチです。最初は長期トレンドフォローのドテンプログラムと言っていいものでした。「ドテン」というのは必ずマーケットにとどまって、トレードしているという意味です。しかし、長期トレンドに乗る方法は簡単に見つかったのですが、トレンドがはっきりしない時期が八〇%あって、どうやって生き延びるかが問題でした。

二番目のプログラムとして、それらしいシグナルがあれば、仕掛けていくのですが、すぐに成果がでないようなら手を引きます。うまくいくようなら利益目標を使います。目標にたどり着けそうもないときは、トレンドフォローでやるようなトレイリングストップを使うのです。目標に届かなければはじき出されることになって、その時点でポジションを変えます。

私は十分な資金を用意し、ゲームに弾き飛ばされないようにしていく必要がありました。はじき出されなければ、プレーが続けられて、勝つチャンスが大きくなります。そのため、標準偏差を組み込んだ統計尺度にて、五標準偏差を超えるような自体が起きても、ゲームから放り出されないためにはどれだけの資金でスタートする必要があるかということを考えます。つまり、手元資金を分厚くし、掛け金を少なめにして、毎日のプレーができなくなってしまうような自体を防いだのです。

トム・ウィリス

「システムにかかわったときに、一番大きな課題となるのは、それを信頼することです」

トム氏は鋭い相場観に恵まれている。これは通常のメカニカルシステム投機家にはかけている特徴である。トム氏の生まれつきの才能はシステムとは相反するものだが、見解は常にトレーダー志望者に歓迎されている。その理由はメカニカルトレードのアプローチの志望者であるためとトレードのさまざまな面でいつもメカニカルな方法を取ってきたためだ。

「直感トレード」よりもメカニカルアプローチのほうが好ましいでしょう。そのアプローチは方向を示すモデルを使うものでした。相場が強かったり弱かったりするときにそれに対応した買いや売りのシグナルに従います。私はフロアトレーダー出身なので、スタイルもアプローチも見合ったものなのです。

それでも裁量でやるためには、毎日相場に参加して決定をくださなければいけません。間違えれば感情的なダメージを食らいます。メカニカルアプローチの強みは、アプローチがうまくいかないときはアプローチを攻めればいいのです。

しかし、システムに従うのも、神経をすり潰すもとになります。システムにかかわったときに、一番大きな課題となるのは、それを信頼することです。問題はもっと広げられると思います。トレーディングモデルで大事なことは、人間的性質を抑えることです。それが一番有望な道なのです。

ジョン・ヒル

「私が学んだのは、仕掛けは非常に難しくて、手仕舞いは簡単にできるようにするのが良いということです」

相場について知る必要のあることは全部バーに現れているのです。すべてのニュースは現在地の中に織り込まれています。ファンダメンタルズのアプローチは九五%の人にとって情報を知ったときには遅すぎるのです。

相場を動かす力は長期的にはファンダメンタルズが相場を動かし、短期的には人間倫理と結びつきます。そして、バーからは需要と供給、恐怖と要望が読み取れます。目指すところは相場を動かすもの、つまり強気と弱気を見極める力をつけることです。

相場で生き延びられるのはビジネスとしてトレードをする人たちです。しっかり研究して原理を理解したうえで一定のトレード法を使う人たちです。裁量トレーダーでも、ほとんどメカニカルと言えるぐらいにまでなります。

そして、仕掛けは非常に難しく、手仕舞いは簡単にするのが良いです。システム設計では仕掛けと、利益確定と、損失確定がうまくかみ合っている必要があります。

マレー・ルジェーロ

「隣接的な数値という条件が嫌だというのでは問題が生じます。なぜなら、可能性としては、やはりどうしても隣接するパラメーター集合による結果が返ってくることになるからです」

最も重要なものは自分の行うトレードのドライバーを理解するということです。つまり、システムの信頼性を左右するような市場の変動や特性を掴んでおく必要があります。データが素晴らしい結果を示しても、明確なトレードドライバーの理論が確証されて初めて意味を持つのです。

ニューラルネットワークモデルを使って市場予測をする研究に取り組んでいました。しかし、工学的アプローチでは市場予測という与えられた問題を解決できないのです。

たどり着いた結論は、トレードモデルとして成功する条件と、成功した人たちの使う方法の根拠を理解しないかぎり、ニューラルネットモデルを使っても市場で成果は挙げられない、ということです。

そして相場で有効だと分かった手法の背景には価値決定の基本モデルに強力なファンダメンタルズの理由があることと、人間的性質に反する出来事が市場に生じていることが分かったのです。

つまり成功の秘訣を知るために集団心理学やファンダメンタルズな問題について学ぶ必要が出てきます。うまくいった結果をもとにして、論理的で、筋が通り、確証することのできる根拠を組み立てることが可能です。

ゲーリー・ハースト博士

「『どんな市場でも、どんな時点でも運用する』と言えるようなものは存在しないのです」

広く受け入れられた考え方は必ず失敗するものであり、逆に大多数と反対のことをすれば成功の確率が高いのです。テクニカルトレードは使いません。私のトレードはすべて(数学的に計算できる)定量的なものです。

使えるものは公表されません。自分のシステムでトレードすれば儲かると本当にわかっているなら、どうして作成者は売るのでしょうか。そのあたりをしっかり考えることが肝心です。

そして、トレードに必要なのは科学的な方法に従うことです。仮説に基づいてシステムを開発して検証を行います。良い結果が出れば、仮説が正しかったわけで、このとき初めてシステムが確立したことになります。

作業は過去ではなく、将来に向かって行うことが必要です。将来の見通しを考えるのであれば検討しようとしている仮説は単純なものということになります。しかし、実行の段階となると普通はかなり複雑です。しかし核となるアイデアは単純なのです。

著者
アート・コリンズ
アート・コリンズは、壊滅的な市場の混乱をトップトレーダーがどう乗り越えたのかを描いた評判作『ホエン・スーパートレーダーズ・ミート・クリプトナイト(スーパートレーダーがクリプトナイトに出合うとき)』の著者である。また、CBOT(シカゴ・ボード・オブ・トレード)の会員で、ほぼ20年にわたってメカニカルシステムの開発を手掛けている。アートはパートナーとともに、1997年にトレードを開始したメカニカルなS&Pシステムによって数百%の収益を生み出した。
出版社:
パンローリング株式会社
出版日:
2005/5/27

※Bibroの要約コンテンツは全て出版社の許諾を受けた上で掲載をしております。

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