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株式投資2年生の教科書
児玉 一希
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つみたてNISA,iDeCo,インデックス投資の落とし穴

積み立て投資は想像以上に時間がかかる

まず投資はなにからしたら良いのか、「負けない投資」としてインデックス投資やつみたてNISA等をおすすめしている書籍や人物は非常に多いですが、リスクは低いという面が強調されており、ボトムの利益について明言していることは非常に少ないです。まずは、その「負けない投資」の落とし穴について解説しています。

投資初心者に人気の「つみたてNISA」「iDeCo」や企業型DCといった確定拠出年金。経済や投資に詳しくない方のために金融庁が定めた水準をクリアした投資商品を扱う制度で、月々数千円からの積立投資で将来の老後資金を作っていこうというものです。

インデックス投資は投資先が分散されているため、仮に1つの銘柄で大暴落があったとしても全体の資金へのダメージを小さくできるのが特徴となります。しかし、リスクを取らなければリターンは来ないことは投資の世界での鉄則です。長期投資の道のりは果てしなく長いというのを忘れないでください。具体的に数字で示していきます。

5%というのは株式の過去200年のS&P500の平均リターンから割り出しています。ですから、年によって安定上昇することもあれば暴落でマイナスになることも当然あるわけです。

毎月3万円で積立を続けるとすると、最初の5年で積立元本180万円に対しプラス24万円、10年目まで積立をすると積立元本360万円に対して105.8万円の利益となります。100万円を超える利益になるのでまとまったリターンに感じられますが、ここまで来るのに10年かかります。

しかも老後は2000万円が必要といわれており、子どもがいる場合は教育費も高騰しているので、全体の運用金額465.8万円(=360万円+105.8万円)ではまだまだ心もとないといわざるを得ません。

さらに10年続けたとしましょう。そうすると20年目で積立元本720万円、運用益は513.1万円になります。20年経って最終積立1233.1万円。投資元本に対する利益率は約71%。ここまで来ると、複利運用の効果を実感できると思います。しかし、考えないといけないのは20年で約1.7倍ということ。2倍にも達していないのです。

 

「元本がマイナスでも現金化」は誰にでも起こり得る

さらに、そもそも毎月3万円を継続して積み立てられるか?という問題もあります。20年もあれば、転職、引っ越し、出産、子どもの私立校への進学、家族の病気、親の介護など自分に大きな影響がある出来事によって、収入に余裕がない事態が起きてもおかしくありません。このように、そもそも継続した積立自体が難しくなってしまう場合もあるのです。もちろん、月々数千円から投資をすることもできます。私自身も積立投資自体には賛成です。ただし、少額で積立を続けたとしても、まとまった資産を作るのにはその分長い時間がかかってしまいます。

また米国株をはじめ、株式市場がこれまで通り上がり続けるという保証はありません。2000年のITバブル崩壊、2008年のリーマンショックなどでは、数年にわたって株価が高値(一定期間の中で一番高い値段)から50%を超えて下落する事態となりました。あなたがもしその時に投資していたら、資産評価額が半額以下になるということです。

もっと恐ろしいのは、元本全体がマイナスになっている時に急にお金が必要になった時。その時は損切りするような形で積立元本を現金化しないといけません。

もちろん、バランスに気をつけて資産を分散していれば大損は防げます。少額の余裕資産での投資となりますので、まとまった資産形成には時間がかかります。つみたてNISAやiDeCoで、皆がこぞってS&P500の積立をやっているから大丈夫という風潮がありますが、長期で資産をマーケットに投じる分、以上のような様々なリスクが発生するのです。

資産形成が加速する個別株投資

1年で投資信託の10倍以上もザラ!個別株投資の魅力

積立投資には長期間ゆえのリスクと継続する難しさがあります。無理のない資金で続けるのが一番ではありますが、そうなると金額的に満足いく資産は作るのに長い年月がかかります。会社に投資するというと、業績や会社の商品を知らないといけないし、ハードルを高く感じる方が多いです。その感想はもっともで、個別株投資のハードルとして「個社要因」が絡んできます。

例えば、会社のサービスの売れ行きが好調で業績が成長すると、将来の利益期待から株が人気化し大きく値上がりします。逆に、決算で前年を下回る業績を出したり不正会計などの不祥事があったりすると、途端に株が投げ売られ株価が大きく下落するリスクがあるのです。

ただし、高配当・増配株の長期投資であれば、銘柄選びのポイントはシンプルですし、それに加えて適切な資金管理ができれば、仮に1銘柄が暴落しても資産全体で大きく減らすことは考えにくいと言えます。

2つの儲けが得られるキャピタルゲイン&インカムゲイン

株式投資には2種類の儲け方があります。値動きの変動を利益に変えるキャピタルゲイン、保有している資産から定期的に生まれるインカムゲインです。キャピタルゲインは「安く買って高く売る」「高く売って安く買い戻す」といった変動による価格差を取ります。大きく儲けることができ、一般的な株式投資はこのキャピタルゲインがイメージされやすいです。

一方のインカムゲインは、配当・利子・家賃など、その資産が生み出す収益を得ること。不動産投資の家賃収入がイメージしやすいですが、債券の利子、株であれば会社が生み出した利益の一部を株主に支払う配当がそれにあたります。高配当・増配株はいずれも「配当=インカムゲイン」がある銘柄です。

高配当・増配株を暴落期に買えば、底値からの値上がり益と高い配当金が両方手に入る上に、頻繁に売買する必要もありません。

個別株投資のリスクと防ぎ方

個別株投資にハイリスク・ハイリターンの側面があるのは否定できません。しかし、より早く資産形成したいのであれば、ある程度チャレンジする価値はあります。

その見極めのポイントは以下5点です。

1.業界に成長性がある

2.高配当・増配株を選ぶ

3.銘柄・業種を分散する

4.チャート上で売られすぎているときだけ買う

5.投資する理由を決めて、それが覆ったら売る

著者
児玉 一希
1991年生まれ。東京都立大学(旧首都大学東京)卒業後、2014年リクルートグループへ入社。しかし営業成績が最下位になるなどまったく活躍できず、2016年に転職をきっかけに金融教育業に携わる。直接的に指導した人数は2万名を超え、2020年に会社の代表者になってからは、自社でお金や投資を学べる学校を創設。投資家として大事にするのは「再現性」と「継続性」。
出版社:
Gakken
出版日:
2023/3/2

※Bibroの要約コンテンツは全て出版社の許諾を受けた上で掲載をしております。

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