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テンプルトン卿の流儀
ローレン・C・テンプルトン
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株式
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「強気相場は悲観の中で生まれ、懐疑の中で育ち、楽観の中で成熟し、陶酔の中で消えていく」。これはジョン・テンプルトンの言葉であり、投資の芯をついた言葉です。テンプルトンは企業の株価が安くなった時に買って、戻るときに利益を得るバリュー投資を得意とした方です。バリュー投資を学びたい、バリュー投資に興味がある方には特にオススメの1冊。- 栫井 駿介 -

本書はバリュー投資家のジョン・テンプルトン卿の投資方法を、親族のローレン・テンプルトンがまとめたもの。

50年にわたって市場平均以上の成績を残してきたジョン・テンプルトン卿の

「強気相場は悲観のなかで生まれ、懐疑のなかで育ち、楽観とともに成熟し、陶酔のなかで消えてゆく」

という格言は有名でしょう。

ここでは本書より一部内容を抜粋して紹介します。

バーゲンハンターの誕生

テンプルトン卿の人物像

人間の個性のほとんどは成長期に形作られる。大叔父にあたるジョン・テンプルトン卿も人生や投資、事前についての考え方のほとんどが子供時代に根ざしていると言っていい。

ジョン叔父さんは、さまざまな価値観を両親から授かった。ジョン叔父さんの性格を一言で表せと言われたら「どこまでも楽観的」と私は答えたい。

ジョン叔父さんは、投資スタイルの点でバリュー投資家として分類されるのが普通だ。バリュー投資家とは、自分が真の価値と考える価格以下で特定の資産や事物を取得しようとする人(本書ではこのような人をバーゲンハンターと呼称する)をいう。この定義では、資産や事物の価値が真の価額や価値と異なることがあり得るという単純だが本質的な前提が核心をなしている。

幼いジョン叔父さんは、農場に価値があっても買い手がいなかったら本来の価値の数%で高価な農場が買えるという経験をした。その印象が生涯を通して深く心に刻まれることになった。ジョン叔父さんの投資キャリアを貫く一本の糸があるとすれば、それは単に賢いだけでなく、ゆっくり構えて知恵に従って行動できるという資質だった。

投資で必要なこと

奇妙なことに一般的な日常生活の振る舞い方は投資の世界では成功しない。むしろ逆の行動が求められる。つまり見通しの暗いところを探ることが肝要なのだ。そうした行動は群衆から距離を置くことではじめて可能となる。そういう環境に身を置くことによって自分自身の思考だけに従うようになる。

株式市場にお金を投入する普通の賢い人から成功できる投資家に飛躍するためには少し特別なことが必要になる。それは正確な判断力だ。

覚えておく必要があるのは、人と同じように株や投資信託を買ったのでは、人と同程度のリターンしか期待できないということだ。だから「もし周りの皆が冷静さを失いかけているときに、冷静さを保てるなら」賢い投資への道を歩めるはずだ。

悲観の極みのなかで最初の取引

株価と価値の違い

1930年代は株価が最大の変動を見せた10年となった。1929年の大暴落で非常に興味深く、しかもしばしば見逃されている事実は、真の暴落はその2年後に生じたということだ。

大半の人のイメージでは、その10年間、市場はずっと冷え切っていたととらえられている。だが、見る人の視点によってはその間にも非常に好調な期間がある。1930年代の株式市場に関する検討によって明らかとなる非常に重要な側面は、全体として株価が何度も乱高下しているという事実だ。

株価が表しているはずの企業の本質的価値も同じように激しい頻度で変化しているのだろうか。答えはノーだ。

どんな企業についてもその価値に関する合理的な推定値を見いだすことができる。それにもかかわらず、企業の株価はその価値とは独立して変動することがあり得る。企業価値は毎日変動するものだろうか。けっしてそんなことはない。

どんな場合でも資産価値と市場価値の不一致を見いだすことが最大の眼目となる。どんな事例でも価格と価値に大きな差が生じる場合のあることを肝に銘じておく必要がある。

バーゲンハンターは本来の価値よりも安い株を一貫して買い続ける。そのため自分の行動が皆から承認や同意を受けないという状況に慣れる必要がある。バーゲンハンティングの核心は、何物にもひるまない逆張り投資家というよりは不人気銘柄の賢い買い手になることにある。

悲観のなかでの株取引

ジョン叔父さんが戦時という悲観の極みにあった銘柄をあえて買ったとき市場は文字通り大底に達していた。

買いの理由は単純だった。叔父さんは非効率的な企業を求め、予想どおりにいけば非効率的な企業の株価が最も大幅に上昇することが期待できたからだった。

それともうひとつ重要な教訓は多くの銘柄を買い付けたことだ。少数に限定せずに多数の銘柄を買うことでリスクを分散化したのだ。

グローバル投資の非常識な常識

投資対象は世界へ

今日ではグローバル投資が広く受け入れられている。

バーゲンハンターの目標が市場価値と企業価値の計算結果の格差が最大の株式を買うことにあるとすれば、探索の範囲を世界全体に広げるのが当然と言っていい。何よりも選択の幅が急激に拡大する。銘柄選択の範囲が広がることに加え、国同士を比較するという作業によって一層有望なバーゲン株を見つけられるというのも常識と言えよう。

同時に重要なのは、住む国と関係なくできるだけ有望なバーゲン株を見つけるようにすれば分散化の効果も得られるということだ。

バーゲンハンターの心構え

平均株価が下げたときに自分の選んだバーゲン銘柄が値上がりしていれば本当に素晴らしいと感じられる。だが反面、持ち株の成績が市場平均に及ばないときはストレスを感じることがある。数年ほど市場をアンダーパフォームする場合があることは覚悟しておかねばならない。

最初からこうした基本的な現実を受け入れておけば、短期的に思いどおりにならない時期があってもあわてて撤退しないだけの忍耐力をもてる。

10年以上投資信託を運営している素晴らしい投資家であっても実績を調べてみると、時にはアンダーパフォームの時期があることに気づくだろう。

ジョン叔父さんは次のようなアドバイスをしている。

「自分の投資方法について反省すべきときは最大の誤りを犯したときではなく、最大の成功を収めた時だ」

日出ずる国に最初に注目

日本に投資をしたわけ

戦後における日本は、米国の投資家の目には産業が停滞した国としか映らなかった。

1960年代初頭の日本経済は平均10%のペースで成長していたのに対して米国経済は平均約4%だった。日本経済の成長のスピードは米国の2.5倍だった。

その一方で多くの日本株は米国株の平均株価よりも80%割安だった。とりわけ、投資家が高成長企業を長期的に選好することを考え合わせてみると、両国のこの落差は極めて大きいと言っていい。

なぜそのような状況が発生しているのか。それは日本に対する敗戦国という偏見が大きく浸透していたからだ。

バーゲンハンターにとって不人気の世界こそ歓迎すべきものだ。この世界こそバーゲンハンターにとって最も大切な聖域のひとつとなる。偏見にとらわれた投資家はバーゲンの着想に目を向けることすらできなくなる。自分で状況の調査と評価を行うために時間を費やさなかったとすれば、大勢に従って受動的に投資する結果となる。

バブルの発生

時がたつにつれ、20~30年にわたって生じた経済的変貌に気づく人の数が次第に増加することになった。1980年代の日本株式市場では行きすぎた熱中が広がった。株式や不動産などの資産に対して投資家が支払う価格がどんどん上昇して、あり得ないほどの不合理な水準にまで達した。

ジョン叔父さんはこうしたすべてのことが起きるずっと以前に日本市場から撤退していたが、もちろん念入りな注意を払って状況を書き留め、目の前で展開する大衆の愚行から学び続けた。そうした状況の観察によって他人の経験を取り入れることが、叔父さんにとっては将来の株式市場のバブルに対する対処に役立った。

株式の死と強気相場の誕生

株式の死とは

「株式の死」とはどう見てもやや大げさすぎるように聞こえる。もし面と向かって株式が廃れつつあるとか、永遠に見向きもされなくなるとか言われたらどう答えるだろうか。

1970年代末の時点ではそうした意見が一般投資家の間に行き渡っていた。それを裏付ける証拠として米国株式市場は10年もの間低迷が続いていた。市場はインフレの急加速のせいで株式市場が死を迎えつつあると見ていたのだ。投資家は燃えさかる建物から逃げ出すように、米国株式市場から撤退していた。

強気相場にあらわれるシグナル

しかしジョン叔父さんは逆に、冷静に正面ドアから入って被害状況を把握していた。叔父さんはほかの人と違って新鮮な視点で市場を見ることができたのだ。

ジョン叔父さんは企業買収の件数が増えつつある状況に気づいたとき、株価が企業の本質的価値に比べて安すぎることを示す市場のシグナルとしてその事実を受け止めたのだった。多くのバーゲンハンターは業界の歴史的な買収水準に比べて価値が安すぎる企業の時価を熱心に注視している。

もうひとつのバーゲンの兆候は、営業から生み出された現金を使って自社株を買い上げる企業数が急増しているということだった。何と言っても経営者はどんな外部の観察者よりも会社の価値をよく知っているはずであり、したがって自社株買いは株価が企業の相対的価値に比べて低すぎる水準まで下落したことを示す良い証拠だった。

バブルで空売りするには及ばない

バブルの発生と終焉

なぜ人は集団になると愚行に走るのか。人々は通常スタート時点にある業界を大きく過大評価するものであり、そうした状況は当然と言える。大衆が流れに参加して熱狂が次第に高まっていく段階では新産業のどんな企業も支援しようとする人々の意欲は最高潮に達する。

投資家はしばしば非常に怪しげな生まれたての企業にも資金を出す。そうした企業は資金が尽きるとたちまち破綻し、支援した浅はかな投資家は大損を受ける。

どんな株式バブルにも共通する特徴は下振れリスクをほとんど無視した楽観論が横行するということだ。どんなバブルの事例でも、人々は全ての社会的義務を放り出して株式市場の富をつかもうとする気持ちを抑えきれなくなるのだ。

空売りは推奨しない

空売りは株価が下落すると予想する投資家が良く使う手段だ。もし値下がりすれば売値よりも安い値段で買い戻せる。

空売りは穏和な投資家には向いていない。空売りは利益という点で考えると最大でも100%にとどまる。たとえば50ドルで空売りした株は0ドルまでしか下落しないが、そのときの利益が100%になる。

その反対に株価には上限がないため、損失が無限に増える可能性がある。空売りではリスクとリターンの関係があっという間に危険なものとなることがある。

「加熱株」つまり株価が企業の経済価値から離れてどうしようもないほど上がりすぎたために下落するしかない銘柄に手出ししてはならない。

危機はチャンス

株式の仕込み時と見るべき点

危機時に株を買う戦略を実行するひとつの方法は、普段の市場条件のなかで日常的に用いるのと同じ戦略を目の前の危機の中でも活用することだ。

バーゲンハンターは第一に、株価が下落して本質的価値に比べ非常に割安となった銘柄を探す。そのようなバーゲン銘柄を見つける最良の機会は株価のボラティリティが高い時期に訪れる。第二に企業の短期的苦境(一時的なものでいずれ乗り越えられる状況)などに伴う大きな誤解によって株価が急落した銘柄を探す。第三に、どんなときも市場で見通しが最悪(最高でない)とされる銘柄に目を向ける。

パニック的な売りは圧倒的な恐怖に支配されるため、考え違いが最高度に達する。市場のパニックに関して自覚しておくべき最も重要なことは、どんなバーゲンハンターもその機会をとらえる能力を身につけていなければならないということだ。状況が最も暗く見えるときに買いに動く決断ができれば、株式市場で優位な地位に立てる。

この戦略の実行ですべきもうひとつの重要事項はバランスシートに問題のない企業を選ぶように気を配らなければならないことだ。良い状況と悪い状況の両方を想定して企業を検討することが大事なのだ。売上高の減少や利益率の低下が始まったときに債務返済に苦しむような企業に投資したとしたら、買いの選択が賢明でなかったことになるだろう。

最後になるが、損益計算書に示された企業業績の推移を調べることも欠かせない。

歴史的押韻

アジア金融危機

歴史は繰り返すのではなく、韻を踏む。

1997年には世界中の投資家がアジア金融危機と呼ばれる危機の連鎖反応によって大きく揺さぶられた。数回の危機的事件を通じて世界の多くの通貨と株式市場が打撃を受けた。この金融危機によって特に大きな痛手を受けたアジア諸国の経済は混乱状態に陥った。

危機の影響で打ちのめされたすべての国々のなかで、バーゲンハンターとしてのジョン叔父さんの目を引いたのは韓国だった。ジョン叔父さんは投資家にとって韓国が第二の日本になると見ていた。その理由は、経済的見地から両国が驚くほど似ていることだった。

テンプルトン卿が韓国でとった戦略

落ち込んだ韓国株式市場が大物バーゲンハンター、ジョン・テンプルトン卿の関心を引いている。

ジョン叔父さんは主な投資手段として投資信託を選んだ。どんな環境でも個別株を発掘して買わなければならない理由はない。平均的な投資家と偉大な投資家を分ける要因として最も重要なのは、天才的な銘柄選択ではなく他人が買わないものを買おうとする意欲である。これが紛れもない真実なのだ。

あなたが投資の考え方をすでに作り上げているとすれば、同じ考え方のファンドマネジャーを探し出すことが肝要なのだ。これが投資信託投資の基本であり、基本であるべきだ。ところが大半の投資信託投資家は最近のリターンを調べて一番成績の良い投資信託に投資する傾向がある。好調な投資信託を追いかけることは多くの場合、好調な個別株を後追いするのと変わらない。そうした投資パターンは、人気株を買い遅れ、不人気株を売り急ぐのと同じ過ちだと気づいた人は、投資信託のバーゲンハンティングの準備ができていると言える。

歴史的事象は同じ韻を踏む

歴史をよく理解し、長期的視野を持ち、悲観論の極みで買おうとするバーゲンハンターはそのパターンが歴史のなかで何度も繰り返されるという事実を正しく評価できる。場所や時代が変わっても同じ展開、同じ結果となるのだ。

中国という国について

日本と韓国に関するこれまでの説明からも分かるとおり、両国は経済を短期間で回復させるための基本的な方策を用いていた。中国もその政策を有効と考え、独自の形でそれを実施した。

高い貯蓄率、産業基盤への投資、そしてその結果としての輸出拡大によって中国の経済成長率は多くの国々がうらやむような水準にまで達した。

ジョン叔父さんは中国とその急速な進歩を称賛していても、高い規律をもったバーゲンハンターである点は変わらない。だからバーゲンを見つけたときにだけ投資し、それ以外の状況では動かないというアプローチだ。

どんなときも他人と異なる投資(異なる国、異なる方法、異なる投資期間、異なる水準の楽観主義や悲観主義による投資)を追求することが群衆に埋もれない唯一の方法となる。市場で他人が絶望して売るときに買い、他人が貪欲に買うときに売ることだと、今やお判りいただけたことと思う。

群衆よりも良い成績を上げたいのなら群衆と異なることをしなければならない。

著者
ローレン・C・テンプルトン
ローレン・テンプルトン・キャピタル・マネジメントLLCの単独所有者。サウスイースタン・ヘッジファンド・アソシエーション社の設立者兼会長。
出版社:
パンローリング
出版日:
2010/4/16

※Bibroの要約コンテンツは全て出版社の許諾を受けた上で掲載をしております。

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