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私の財産告白
本多 静六
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専門家の推薦
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株式
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資産形成
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この本では「1.給料の4分の1は貯蓄、ボーナス等の臨時収入は全額貯蓄。2.貯蓄は運用する。」など、具体的な手法があげられています。節約を徹底して投資にまわすことの大切さなど、資産形成の方法だけでなく、人生訓までも学べる本書は、これから資産形成を始めてみようと考えている方にもおすすめの一冊です。- 長期株式投資 -

金の貯め方・殖やし方

金というものは雪達磨(だるま)のようなもので、初めはホンの小さな玉でも、中心になる玉ができると、後は面白いように大きくなってくる。

だから、私は確信をもって人にすすめてきた。どんなに辛い思いをしても、まず千円を貯めなさい。金がある処にはいろいろいい智慧も出てきて、いよいよ面白い投資口も考えられてくる。

さて、このあとは、新しく積極的な利殖法を考えることである。それは断じて「投機」ではない。「思惑」ではいかん。あくまでも堅実な「投資」でなければならない。

成功を期するには、ぜひこれだけは心得ておくべしといった、大切な信条がある。それは何事にも「時節を持つ」ということだ。焦らず、怠らず、時の来るのを待つということ。投資成功にはとくにこのことが必要である。

本多式投資法ーーの要領

株式は「二割利食い、十割益半分手放し」という法で押し通した。私が株式に目をつけたのは、その所有管理が簡単なことと、また利回りが銀行預金よりもはるかに優位にあったからでもある。

株式といえば、当時は証拠金売買の投機がさかんで、実力不相応な思惑をやって、大金を掴んでもたちまち失敗して悲惨な環境に陥る人が多かった。これはすなわち投機で、私は絶対にとらないところである。

ある株を買おうとすると、いつもその全部の買受金を用意してかかった。もっとも買付けは取引が容易な点から先物を選んだ。いかに値下がりしても、全部の買受金が用意してあるからびくともしない。そうして、それが引き取り期限の来る前に思いがけぬ値上がりがあった場合は、買値の二割益というところで、キッパリ利食いして転売してしまった。それ以上は決して欲を出さない。これがいわゆる二割食いの法だ。

次に、いったん引き取った株が、長い年月の間に二倍以上に騰貴することがあるーー反対に値下がりすることもあるが、この場合無理のない持ち株だからいつまでも持ち続ける。したがって絶対に損はしないーーそのときはまず手持ちの半分を必ず売り放つ。つまり投資の元金だけを預金に戻して確保しておく。したがって、あとに残った株は全く只(ただ)ということになる。只の株ならいかに暴落しても損はしない。これがいわゆる「十割益半分手放し」という法だ。

投資戦に必ず勝利を収めようと思う人は、何時も、静かに景気の循環を洞察して、好景気時代には勤倹貯蓄を、不景気時代には思い切った投資を、時機を逸せず巧みに繰り返すよう私はおすすめする。

偏狭を戒めよ

財産貯蓄に成功しようとすれば、焦らずに堅実に、しかも油断なく時節を待たなければならない。ウマイ儲け口に欲張って乗せられるのも禁物。実力相当な進み方をしていればよいのに、無理算段の投資をしたり、いたずらに成功を焦ったり、堅実を欠くに至った人たちが失敗に帰しているのである。

だから、少しばかり金ができても、早く金持ちになろうとか、急に財産を殖やそうと焦るのは、たとえ一時の小成功を収めることはあっても、必ず最後はつまずきを招くものであるから、何人もよくよく注意しなければならない。

これからの投資鉄則

金儲けは理屈ではなくて、実際である。計画ではなくて、努力である。予算でなくて、結果である。その秘伝はとなると、やっぱり根本的な心構えの問題となる。大金持ちになろうというからには、なんとしても積極的に、人並み以上の大活動を覚悟しなければならない。

投資の第一条件は安全確実である。しかしながら、絶対安全をのみ期していては、いかなる投資にも、手も足も出ない。だから、絶対安全から比較的安全、というところまで歩み寄らねばならぬ。そうして、その歩み寄りの距離だけを、細心の注意と、機敏な実行で埋め合わさなければならぬ。

昔から卵は一度に同じ入れ物に運んではいけないといわれているが、投資もそれと同じで、有利有望と思っても、一つの事業に入れ上げてしまっては危険である。常に正しい判断の下に、幾口にも分けて投資し、いわゆる危険の分散を行っておくのが賢い行き方である。

そうすれば、一で失敗しても二で成功し、二で損をしても三で償うということもできる。十が十までみなプラスを望むのは至難であるが、全体としてプラスになっていきさえすればそれでよいと覚悟してかかるべきだ。

資金で資金を引き出せ

最も大切なのは投資先の監視と指導ということになるが、それさえうまくいけば、あとはもう雪達磨の坂落としみたいなものである。安全確実の手を講じて、慎重に、機敏に、これを何十回、何百回と繰り返せば、二億円長者になることぐらい、いと易いものである。

もっとも、これは紙上のプランで、プランと実際とはいろいろに食い違ってくる。その食い違いを、その都度、善処し、新しい観点から新たに工夫をこらしていくのが、すなわち個人個人の動きであって、利殖の成功不成功は、やっぱり、その人の努力如何にかかってくるものである。

常に社会情勢を見守れ

私はときどき「大金持ちになる秘伝」を問われて面食らうが、実はだれにもすぐやれて、安全確実なという具体的秘策は持ち合わさない。

ところが、いかなる時代、いかなる場合にも、勤倹貯蓄が資産貯蓄の基礎をなし、工夫と研究を積んだ投資がこれを倍化していくことに変わりはない。しかも、時勢は常に変化するものであるから、この動きを巧みに利用して、いよいよさらに大を成しめる努力を怠ってはならない。

利殖の根本をなすものは、「物と金」の適時交替の繰り返しであって、その物的投資対象には、株式、土地、山林、事業出資等を挙げ、やっぱり昔からの財産三分投資法を説いているのである。

私の体験社会学ーーー最終結論

平凡人は平凡人としてひたむきな、一時に一ヵ所に向けられた努力が必要であって、精力の二分三分は厳に戒めなければならない。多々益々を弁じ、行くとして可ならざるとなしとは正に天才者の道で、平凡人が不用意にこれを見習うようなことがあってはならないのだ。

何事もハッキリ本業から区別してかかることが必要である。その間に一片の私をはさむことなく、どこまでも、余暇、余徳の社会奉仕でいくべきである。もしそれができないようであれば、まだそうしたことに手を出すのは早いのだ。

平凡人はいついかなる場合も本業第一たるべきこと。一つのことに全力を集中して押し進むべきこと。これが平凡人にして、非凡人にも負けず、天才にも負けず、それらに伍してよく成功をかち得る唯一の道である。

人生即努力、努力即幸福、これが私の体験社会学の最終結論である。

著者
本多 静六
1866(慶応2)年、埼玉県生まれ。日比谷公園の設計や明治神宮の造林など大きな業績を残すだけでなく、独自の蓄財投資法と生活哲学を実践して莫大な財産を築く。370冊余りの著作を残した。85歳で逝去。
出版社:
実業之日本社
出版日:
2013/05/15

※Bibroの要約コンテンツは全て出版社の許諾を受けた上で掲載をしております。

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