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資産を増やす米国株投資入門
岡元 兵八郎
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10年先がイメージできる投資をしよう

株式投資=日本株投資?

日本人投資家の大半は「株式投資=日本株投資」という固定観念から抜け出せずにいます。しかし今の日本はことさら元気がありません。この29年間のGDPを見てみると、日本が22%しか伸びていないのに対して、米国の実質GDPは2倍以上になっています。

日本も米国もバブル崩壊やリーマンショックという大きな経済ショックを経ているにもかかわらず、こんなにも成長率に差が出てしまった根本的な問題は、将来的な日本の人口減にあるように思われます。日本はこれから、急速に人口減少社会に入っていく公算が高く、人口が減少していく国の企業は活路を海外展開に求めるしかありません。日本国内だけで商売している企業はマーケットの縮小により売り上げが落ち、株価は値上がりが期待しにくくなる。つまり、多くの日本企業の株式に投資しても長期的な成長は期待しにくい状況です。

自分が生まれ、生活している国に投資する傾向のことを「ホームマーケット・バイアス」といいます。日本のように長期的な成長が期待できない国に住んでいる私たちが株式投資をする場合、ホームマーケット・バイアスは資産を増やすうえで邪魔になるでしょう。

さらに日本人のほとんどは日本に住み、日本企業に勤め、そこから円で収入を得ています。貯めた資産を全て日本国内で運用し、もし日本という国がだめになったら、何もかも失うリスクがあるのです。これから資産を安全にかつ大きく増やしたいと望むのであれば、ホームマーケット・バイアスを断ち切ることが大事です。

「外国のことはわからない」という理由で外国株に投資しない人も多くいるでしょう。しかし、東京証券取引所に上場されている3732(2020年10月30日現在)もの銘柄(企業)について私たちはよく知っていると言えるのでしょうか。大企業はさておき、株式投資をしている人なら誰もが知っているシステムズ、コムチュア、太陽誘電、技研製作所などの企業はまったくイメージがつかない人も多いでしょう。「日本人は日本企業の方が理解しやすいから日本の株式に投資した方がよい」というのはある意味では詭弁なのです。

日常生活を思い出せば、会社で使うパソコンはWindows、何かを検索するならGoogleを使うでしょう。スターバックスでコーヒーを飲むことがあるかもしれないし、ランチはマクドナルドかもしれない。日本人はアップル製品が大好きで、半数の人はiPhoneを使っています。

私たちの日常には米国企業がたくさん関わっているのです。普段から使用していればその企業のサービスや製品についてよくわかっているはずで、要するに私たちは実は外国企業のことを詳しく理解できている可能性が高いでしょう。

なぜ米国株なのか

BRICsなど新興国群の魅力は、長期的にみて高い成長が期待できること。しかし、先進国である米国株の方が、日本人が最初に投資をするにあたってのハードルは低いでしょう。米国株市場は人口の増加に支えられ経済がしっかり成長しています。

では、ドイツやイタリアなど成熟しているほかの先進国の株式はどうかというと、それらの国々では日本同様、人口が減少局面に入っています。劇的に生産性を上げるなどの改革が行われない限り、現時点では米国株市場の方が魅力は勝ります。米国の株式市場は世界最大であり、流動性が高いから安心して取引ができ、米国の株価はずっと、右肩上がりで成長し続けてきた実績があるのです。

幾度の経済危機を経てなお、ニューヨーク・ダウやS&P500は今でも過去最高値を更新し続けているのは、それぞれのセクターに世界最強企業がたくさん上場されていることによるものです。こんな株式市場は、他のどの国にもありません。米国株市場を支える「屈強な米国企業」の特徴を以下にピックアップします。

(1)経営者と株主の利害が一致している
経営者の報酬は会社の株価にリンクするため、企業価値を高め株価を上げようとする会社が多く、米国企業の経営者や役員が自社の株式を保有する比率は、日本企業と比べ約3倍の差があります。

(2)企業内の年功序列のない過酷な競争とフレキシビリティによる稼ぐ力の違い
実力主義が多い米国の企業は、人材の新陳代謝が進みやすく、稼ぐ力が備わりやすい。デジタル化、情報化、グローバル化が進んだ現代では、そうした筋肉質な企業が世界で活躍しています。

(3)弛まぬフロンティアスピリット
シリコンバレーに集まるテック企業を中心として、フロンティアスピリットを持つ米国企業は多いです。先進国ながら、新興国にも劣らない革新的なマインドで、新商品・新サービスを世に送り出しています。

(4)世界から優秀な人材を集めるエコシステム
世界大学ランキング上位を占める優秀な大学・大学院が多く、ダイバーシティを重んじるため、海外から人が集まりやすいです。また、既存業界を破壊して、イノベーションを起こしやすい環境が整っています。

(5)しっかりしたコーポレートガバナンス
企業の経営を監視するコーポレートガバナンスへの意識が高い企業が多く、株主への利益還元にしっかり取り組んでくれるだろうという信頼感から投資も呼び込みやすいのです。

米国株投資を考える

個別株投資の魅力

せっかく米国株式に投資するのであれば個別銘柄を探して行う投資も楽しいでしょう。個別銘柄投資では大きなリターンを狙うことができます。値上がりする銘柄を選ぶのは至難の業ですが、大きく上昇する可能性を探す楽しみがあります。好奇心が強く、物を調べるのが好きな人は個別銘柄投資に嵌るはずです。

しかし、決め打ちで少数の銘柄に投資する際は、急落時に大きなリスクを抱えることになります。事前に必ず自分のリスク許容度を把握し、その範囲内で投資をしなければなりません。本来、株式投資は企業の成長力によって利益が積み上げられ、それを根拠にして株価は右肩上がりで上昇する性質があります。だから株式は長期投資に向いているのです。

個別株への投資の際に心掛けてほしいのは、企業選びの際に必ず長期ビジョンを重視すること。それともう一つ、長期投資を続けられる環境を整えること。これは自分のリスク許容度を把握するという意味です。値下がり時にも辛抱強く持ち続ける。また、下がった時に余剰金があれば追加投資をすることができるか否かが米国株式の長期投資で成功するための秘訣でもあります。

ETFで簡単に

個別銘柄への投資は大きなリターンを狙える反面、銘柄選定のため丹念に企業を調べて将来の有望銘柄を発掘していく根気も必要となります。

ETFなら、個別の企業について詳しくなくても、株式市場の大きな流れに乗ることができるのです。個別株ほどのリターンを狙うことはできずとも、米国経済が今後も成長路線を歩むのであれば、インデックス投資でも十分なリターンが期待できます。その意味でも米国株投資の第一歩はETFです。

米国株投資の第一歩としてETFを選ぶのであればニッチな銘柄を選択する必要はありません。 ニューヨーク・ダウやS&P500などの米国を代表する株価インデックスに連動するタイプの王道銘柄を選択するとよいでしょう。 まずその1本をポートフォリオの中心に据え(コア)、あとは自分が大きく伸びると思われる国、地域、テーマ、業種といったインデックスに連動するETFをその周りに配置していく(サテライト)「コア・サテライト戦略」が望ましいでしょう。

自分に合った投資方法

手元に「資産」と呼べるものがない若い人の場合は、まずは米国株式での積立がお勧めです。 いきなり個別株へ投資でなく、S&P500のETFで積み立てていくだけで十分です。これから資産を築いていく人に重要なことは毎月コツコツと積立投資をしていくこと。 毎月3万円積み立てていくだけで、そこから得られるリターンも含めると30数年から40年程度の運用期間で、4000万円から5000万円程度の金融資産を築くことができるはずです。

そして、投資をするときは、「半年程度の生活費を現金で持つ」と良いでしょう。これはたとえ失業したとしても半年あれば何とか次の仕事を見つけられるのではないかということに基づいた考え方です。 半年分の生活費を銀行の普通預金に預けたら、残りは全部投資に回しても良いでしょう。

60歳の定年を迎えた人は、かつて「100%近くを債券で運用するように」が、年齢別ポートフォリオの基本でした。しかし今は状況が大きく変わり、人生100年時代が事実であれば65歳で定年になった後、35年も生きることになります。

退職金という大きなお金を投資に回す場合でも、焦らず時間を分散して運用していくことが大事です。また、ポートフォリオをキャピタルゲイン思考からインカムゲイン志向に変えていくことも検討する必要があるでしょう。株価の上昇を期待するのではなく、定期的に支払われる配当金を重要視する考えです。ただ、全額を株式で保有するのが怖い人は、これまでサテライト部分で保有していた株式を売却し、債券や預金に振り向けるという運用方法を取り入れてもいいでしょう。

著者
岡元 兵八郎
マネックス証券チーフ・外国株コンサルタント兼マネックス・ユニバーシティシニアフェロー。2019年10月からはマネックス証券にて、個人投資家向けに米国株を中心とした外国株投資情報の提供、長期投資の啓蒙活動を行う。世界各国の運用会社、証券会社、取引所の経営陣との親交も厚い。金融関係雑誌の執筆、テレビ等メディアのレギュラー出演多数。
出版社:
ビジネス社
出版日:
2020/12/3

※Bibroの要約コンテンツは全て出版社の許諾を受けた上で掲載をしております。

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