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バフェットの財務諸表を読む力
メアリー・バフェット
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専門家の推薦
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株式
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財務諸表の読み方の基礎的なことが書かれていてますが、ただ、用語解説や数字の見方の本ではく投資に活かせることが本書を推薦した理由です。その数字から、永続的競争優位性をもつ企業、価格競争などに負けない優良企業の見つけ方も分かる本です。本書を読んだことで、より優良なビジネスであるかの判断基準が変わりました。財務諸表の本を初めて読む方にもわかりやすい解説ですし、すでに知識がある方にとっても新たな気づきがある1冊です。- かたやま りえ -

バフェットの師匠の「投資先の選び方」

バフェットの師匠たるベンジャミン・グレアム。1930年代若きアナリストは、大恐慌を経て新たな株の着眼点を発見した。

それは、ウォール街の投資家のほとんどが、企業の株を売り買いしているにも関わらず、その会社が展開する事業の長期的経済性にまったく関心を払っていないということだった。

長期的な展望を無視した結果、常軌を逸した低水準まで株価を押し下げることもあった。この株価下落時に、長期的な適正価格よりも安い価格で買っておけば、やがて市場が評価の間違いに気づき、再評価が行なわれ、価格を再び上昇させたとき、株の売却によって利益をあげることができる。

それが、今日知られる「バリュー投資」と呼ばれる基本的な投資手法である。このとき、グレアムは企業がどのような事業をしているかではなく、得な株だけをメインに購入していた。また、ERPが10倍以上の銘柄には手を出さず、株価も50%上昇した場合や、2年間でそれに満たなかった株も売却した。

バフェット流の「投資先の選び方」

1950年代、コロンビア大学に進み、ベンジャミン・グレアム教授からバリュー投資法を学んだウォーレン・バフェット。グレアムが経営するウォール街の資産運用会社に入り、アナリストとして働き始めた。その後グレアムが引退し、ウォーレンは彼から学んだ投資法を棚卸した。

その疑問点のひとつは、バリュー投資法は一定の成果をあげられるもののその一方で一部の企業は破産してしまったり、お買い得に購入したとされる株も、実は、2年後もその価格のまま推移してしまう株も、場合によっては存在していた。

バフェットが着目したのは、株がお買い得か否かではなく、ライバル社よりも長期で競争優位性を保持している企業に投資するという手法が最適だということだ。これを「永続的競争優位性」とした。

「永続的競争優位性」を持つ企業の見つけ方

ウォーレン・バフェットの定義した永続的競争優位性を持つ企業は以下の3つがあげられる。

  1. 他にはないユニークな製品を売っている企業
  2. 他にはないユニークなサービスを売っている企業
  3. 一般大衆からの安定した需要がある製品やサービスを、低コストで仕入れて低コストで売っている企業

例としてあげられるのは、「コカ・コーラ」だ。この企業は、一貫して100年以上前から同じ製品を販売しており、同じく100年後も同じ飲料を販売している可能性が高いということだ。企業の財務諸表を見ることによって、その一貫性をしらべることができ優位性についても一時的なことでなく、永続的なものだと保証してくれる。

損益計画書をどう読むべきか

企業をバフェットが選定するときに、一つ目の手がかりとするのは損益計画書だ。これを見ることで、特定期間内における企業活動の結果を学ぶことができる。その中でどういった着眼点でビジネスを評価していくのか紹介していく

売上高と売上原価をまず確認する

損益計画書の最上段には、必ず企業の売上高が記載されている。ここに多額の金額が書かれていても、当たり前だがビジネス上利益を上げられる企業というわけではない。経費を引いて利益を算出しないかぎり、この数字に意味はない。

その基本として売上高に占める売上原価が低い場合はその企業を評価すべきである。永続的競争優位性を持つ企業を見た時に、売上原価が低い企業が多い。

一部の例外はあるものの、粗利率が40%以上の企業は、なんらかの永続的競争優位性を持っている可能性が高い。逆に20%以下の企業は、たいていの場合、競争の激烈な業界に属しており、そうした企業の多くは優位性という恩恵が得られないため、長いスパンで私たちを金持ちにはしてくれないということが言える。

出ていくお金も注視せよ

また、当たり前だが出ていくお金についても比較することは重要だ。高い粗利率を持つ企業であったとしても、優位性を失うことがある。その理由の一つとしてあげられるのが営業経費だ。項目として挙げられるのは(1)販売費&一般管理費(2)研究開発費(3)減価償却費 である。そのどれもが長期的にビジネスに影響を与える存在だ。

(1)販売費&一般管理費

これは、基本的には低ければ低いほど良い。逆に売上高が落ちているにも関わらず、高い企業については将来性が低い企業とされる。

(2)研究開発費

研究開発費は企業の競争優位を保つために必要な費用だと見えてしまう。だが、他社が開発した研究によって優位性を覆されるリスクを持つことの裏打ちになっている。結果、この費用が高い企業は長期的な絶対優位性を持っているわけではないと言えるだろう。

(3)減価償却費

減価償却費は機械や設備投資を長期間かけて償却していく。戦略的な投資であれば場合によっては必要なものの、見せかけの減価償却費をおこなったとき、利益を圧縮して企業買収などにうつつを抜かした場合、実態のビジネスが優良だと錯覚してしまうリスクがある。なので、投資家視点では粗利益を侵食してしまう可能性を持つこの経費はなければないほど良いのである。

バフェット流「貸借対照表」の見方

次にバフェットが企業を見る時、手がかりとするのは貸借対照表だ。これを見ることで企業がどれだけの資産(現金や不動産)を持ち、どれだけ取引先や金融機関に対して借金をしているのかがわかる。

資産をどう見るか

貸借対照表の資産の部にはあらゆるプラスの要素が記載されている。言うなれば企業の富の部分が数字で確認可能だ。まずバフェットが着目するのは流動資産だ。

現金から棚卸資産を経て売掛金となり、また現金にサイクルしていく。このうち運転資金よりも多くの現金を本業で稼ぎ出しているかどうかを注視している。

逆に現預金が少なく、大量の借入金を元にビジネスを行う企業は、大不況下になったときに資産を確保できず立ち行かなくなる企業になることが多い。

土地生産設備をどう見るか

企業が保有する“土地と生産設備”も、企業が永続的競争優位性を持っているかどうかの判断材料となる。

競合との競争に脱落しないように設備投資を絶え間なく行う企業は自然と生産設備の項目の金額がかさんでいく。

逆に、永続的競争優位性を持つ企業は必要なタイミングで設備投資を行うことができ、減価償却後ではなく完全に損耗したタイミングで設備投資を行えば良いのだ。

長期借入金をどう見るか

長期借入金とは1年超のちに満期を迎える借入金のことを指す。

バフェットが企業を見る時にこの総額から企業の経済性を判断する。彼が投資する企業の多くは、長期借入金をごく数年の短期間利益で完済可能な程度の借入で済ましている。

逆に、長期にわたって利益を注ぎ込んでも返済できない企業は、競争に苦しんでいる場合が多い。こうした企業は高い収益性があっても、企業全体の成長ではなく、借入金の返済に集中してしまう場合が多いのだ。

長期借入金の金額が少量もしくはゼロの企業を選ぶ方が適正ではないだろうか。

著者
メアリー・バフェット
世界第2位の大富豪にして投資の神様であるバフェットの哲学と手法を研究するバフェットロジーの第一人者。メアリー・バフェットはバフェットの息子の元妻。著者2人とも投資レクチャーや執筆活動で活躍中。
出版社:
徳間書店
出版日:
2009/03/19

※Bibroの要約コンテンツは全て出版社の許諾を受けた上で掲載をしております。

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