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超円安の波に乗ってお金持ちになる
菅下 清廣
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株式
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1990年半ばから続いていた円高が終わり、円安の時代が始まろうとしています。今、欧米を中心とした世界ではインフレが到来しており、ドル円に大きな影響が出ています。超円安によって日本経済がインフレに突入していくことが予想されるのです。

脱デフレ、インフレのタイミングで台頭してくる企業群を日本版「ニフティ・フィフティ」とネーミングします(ニフティ・フィフティとは、米国で1970年代に起きた、素晴らしい50銘柄)。

この日本版「ニフティ・フィフティ」を逃さずにとらえることで、超円安の波にのりお金持ちになることが可能です。

なぜ超円安が日本経済を復活させるのか、そして上昇する日本株の中でも素晴らしい「ニフティ・フィフティ」を解説しています。これから大化けする「ニフティ・フィフティ」株を把握することで、みなさんの資産価値の上昇やお金持ちへのプロセスを助けてくれます。

なぜ日本は円安で悲観になるのか

日本経済は1990年のバブル崩壊以来ずっとデフレで、この30年間GDPが成長していません。緩やかに上向きに推移する時期もありましたが、消費税増税やリーマンショック、新型コロナウイルスの感染拡大など定期的に経済が打撃を被る状態が続き、結果的に横ばいに推移してきています。

急成長した中国はもちろん、欧米諸国もその間に着実に経済を成長させてGDPを伸ばしてきました。相対的に、日本は貧乏になったように見えているのです。とくに賃金が上がっていない一般庶民の感覚はデフレマインドそのもので、そのマインドセットからなかなか抜け出せません。

超円安でついに日本も脱デフレ、インフレになる

これまで、日銀が異次元の金融緩和をしてもなかなか脱却できなかったデフレがついに終わり、インフレの時代が始まります。

まず、インフレになったら、必ず物価は上がります。物価が上がることで、日銀が物価目標にしていたコアCPI(CPIから価格変動が大きい生鮮食品を除いたもの)で2%を達成します。これにより金利も上昇し、ゼロ金利を脱出して日本の金融が正常化していくというシナリオが見えてくるのです。

ゼロ金利を脱出してデフレ脱却が起きると、資産インフレの時代になり、インフレ、円安、株高になります。

日本が円安ならば海外からの投資がどんどん入ってくる。日本はもう大繁栄間違いなしです。第1次世界大戦のときの特需ブームどころではない恩恵が、日本の経済に現れる可能性がある。日本の官僚や政治家がよっぽどばかじゃない限り、これから日本は「バイ・ジャパン」で、繁栄する。

日本は、「安い」「サービスがいい」「品質がいい」。海外から見たら日本ほどいい国はほかにない。だから「バイ・ジャパン」がこれから始まるのです。

デフレの悲観を売り、インフレの楽観を買え

ところが、いまの日本では、円安悲観論しか聞こえてこない。円安は日本衰退の証拠であり、中国どころか韓国にも抜かれるといった話題がさかんにマスコミに流れています。日本人はどこまで悲観論好きなんでしょうか。これまでは円高で苦しんだとさんざん言っておきながら、いざ円安になると円安だから苦しいと言う。どっちにしても苦しいことだけは変わらないのですからおかしな話です。

円安は日本経済がデフレから抜け出せる好機なのです。

日本の未来がデフレ、低成長のまま、ゆっくりと衰退していくことになるのか?デフレを脱却して「2%インフレ安定」「名目GDP3%以上」という成長戦略を実現することができるのか?

私は2023〜2025年の3年で日本の進路が決まるのではないかと思っています。インフレの波に乗って、デフレを脱却できるのなら明るい未来が訪れます。逆にこのままデフレが続くようなら「日本沈没」のシナリオが有力です。それこそハワイかシンガポールにでも、移住しなければなりません。

デフレが続くなら、株価も不動産も上がらない「日本売り」です。2%程度のインフレを達成するなら、企業業績の改善、設備投資の拡大、雇用の増加、賃金上昇という経済の好循環を呼びこんで「日本買い」です。2023〜2025年が日本の命運を決めることになるでしょう。

日本版「ニフティ・フィフティ」株

天井を打ったアメリカ株と反対にこれから上昇する日本株

ニューヨークやナスダックはすでに天井。天井圏でも高値波乱はこれからも続いていきますが、次第に安値を切り下げていく展開が予想されます。実際に2022年1月には3万7000ドル近かったのが、いまは4000ドルぐらいまで下げています。

一方、日本株は1990年に先に天井をつけて、その後30年下がった。アメリカ株は40年上がり、日本株は30年下がりました。だから、下落していくアメリカ株とは反対に、日本株は底入れして上がってくる可能性が高いと見ています。

苦しんできた円高、デフレの時代が終わって、円安、インフレの時代に入ろうとしています。その出発点が、おそらく2023年だろうということです。これから、日本株全体が底上げになる。その中でも、とくに上がる銘柄が出てくる。そのため、日本も「ニフティ・フィフティ」になってくるのです。

日本版「ニフティ・フィフティ」株とは

「ニフティ」とは「素晴らしい」や「かっこいい」を指す言葉です。かつて米国で1960〜1970年代に、かっこいい50銘柄だけが上がった時代がありました。「ニフティ・フィフティ」の時代です。

これまでは、無形資産で利益を生み出す株は何を買ってもオーケーでした。しかし、日本ではもはや米国ハイテク株の模倣では勝ち組とはなれません。これからは限られた50銘柄の株だけが上がる「ニフティ・フィフティ」になります。

日本独自の強みを持つ企業。とくにニッチなマーケットで圧倒的なシェアを持つ企業。独占的な事業モデルになっている企業。インフレ円安の波に乗って、業績を著しく向上させている企業。新しい時代をリードする、むしろ新しい時代をチャンスととらえて台頭してくる企業。それらの企業群を私は、日本版「ニフティ・フィフティ」と呼びたい。

私の考える「ニフティ・フィフティ」企業の条件は、まず第1に事業モデルが魅力的、独占的な強さを持つものです。言い換えれば他の追随を許さない断トツのマーケットシェア、技術力、商品などを持つ企業。第2に当然のことながら、業績見通しの良い企業です。株価と業績が右肩上がりの企業です。第3にグローバルに国際的に、海外でマーケットシェアを拡大している企業、もしくは国内マーケットでニッチの王者となっているような企業です。

ニューヨークダウや日経平均の動きに左右されず、粛々と業績を積み上げる競争力の高い企業の株価は上昇しています。

「ニフティ・フィフティ」株とは具体的にどのようなものか

ではどのような銘柄が候補株になるのでしょうか?

まず、日本での候補株のテーマは第1にいうまでもなくDX、デジタル関連です。しかし、DX、デジタル関連でも、いまヤフーのような古い銘柄を買ってもだめです。

新しいDXデジタル関連株は何か。この2、3年で上場された銘柄のなかにその候補はあります。たとえば、高値をつけていまはちょっと下がっていますが、ソシオネクスト(6526)やプラスゼロ(5132)といった、会社名を聞いてもぜんぜんわからないというような銘柄が第1の分野です。

第2は、世の中が大きく転換して、パラダイムシフトが日本に起こる。日本は過去30年の円高、デフレの時代が終わって、次の30年は円安、インフレの時代になります。この円安インフレの時代で儲かる企業を買うことです。

この銘柄を考えるにあたっては、第1次世界大戦のときに上がった銘柄が参考になります。いまの世界情勢は第1次世界大戦のときの日本の置かれた立場と非常に類似している。

第1次世界大戦のときに恩恵を受けた企業は、円安、インフレで株があがったところです。そして戦争特需。今回もウクライナ特需があるわけです。

かつて一番上がった株は、1に海運、2に資源、3に総合商社でした。なので、海運と資源は要注目です。総合商社の株も、いま上がってきています。

しかし、海運では、すでに日本郵船の株価は10倍以上となり、総合商社も、伊藤忠も三菱商事もみな軒並み上がっている。だから、ウォーレン・バフェットが伊藤忠を買ったときに買っておけばよかったのですが、今からではちょっと遅い。その中で出遅れているのは資源関連です。今年、一番値上がりした株の1つに資源株がある。たとえば、大阪チタニウムテクノロジーズ(5726)の株はものすごく上がっています。

なぜ大阪チタニウムテクノロジーズが上がってくるかというと、チタン金属はいまとても貴重になっています。扇風機を始め家電製品、腕時計などの精密機器などに必要です。チタン金属は武器にも必要です。このチタン金属で最高水準の技術を持っている企業は世界に4社あり、そのうちの2社が日本企業です。残りの2社はロシアです。欧米がロシアに注文していたものが、日本に殺到する。日本の2社の株価は両方上がっています。なので、資源株はねらい目です。

3番目がインフレ関連です。代表的な物は不動産。いまの戦争特需や円安恩恵銘柄、海運関連を入れてもいいでしょう。マネーバブル関連もここに含めておきましょう。日本の個人投資家は完全にデフレマインドになっていたわけですが、ここに来てようやくインフレになりそうだと意識し始めているからです。なので、個人マネーが株式市場にけっこう入ってきている。その個人マネーはいままで株をやったことがない人たちのお金です。

長年株取引をしている高齢者は、三菱重工や日立といった重厚長大企業の株を買います。しかし、若い人で新たに株式投資を始めた人たちは、ニューIPO銘柄を買うのです。

この3つの分野から、候補の銘柄を3〜5銘柄に絞って追いかけ、理想としては1つか2つに集中して投資をしたいところです。

著者
菅下 清廣
投資家、投資戦略家(ストラテジスト)。学校法人立命館顧問。近畿大学世界経済研究所客員教授。政財界の幅広いネットワークで新興企業、ベンチャー企業の支援や金融顧問を務める。また、経営者や個人投資家向けのセミナー、フォーラム、勉強会などを主宰。
出版社:
徳間書店
出版日:
2022/12/28

※Bibroの要約コンテンツは全て出版社の許諾を受けた上で掲載をしております。

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